商標法改正案が、2023年5月9日付で台湾立法院の審議を通過した。施行日は、今後、行政院により発表される予定である。今回の改正のポイントは、次のとおりである。
一、商標代理人の資格
現行商標法では、中華民国内に住所がありさえすれば、商標代理人として活動できるが、改正案では、商標代理人の登録資格、管理、資格の取消し等については、台湾知的財産局(以下「知財局」という。)が定めることとされた。なお、弁護士又はその他の法律の規定により商標代理業務を行うことができる者は、引き続き商標代理人として活動可能である。(改正案第6条)
二、文書の電子方式による送達
知財局が電子方式で文書を送達できることを明文化した。(改正案第13条)
三、出願人資格の追加
現行の自然人及び法人のほか、改正案では、パートナー組織、法律に基づいて設立された非法人団体又は商業登記法に基づいて登記された営業主体も商標を出願できるとされた。(改正案第19条3項)
四、早期審査制度の導入
出願人は、早期に権利を取得する必要があるときは、費用を納付した上、事実及び理由を陳述し、知財局に早期審査を求めることができることとなった。ただし、知財局が既に補正要求又は拒絶理由を通知している場合は、早期審査制度を利用できない。(改正案19条8項)
五、商標のうち機能的要素を表す部分の取扱い
商標のうち機能的要素を表す部分について、点線により表示したり、商標の一部ではないことを陳述しない場合には、登録できないとされた。(改正案第30条4項)
六、著名な法人、商号又はその他の団体名称の保護の拡大
現行商標法では、著名な法人、商号又はその他の団体の名称と同一のものは商標登録を受けることができないとしているが、改正草案では、著名な法人、商号又はその他の団体の名称と同一又は類似のものは商標登録を受けることができないとその対象範囲をさらに広める。(改正案第30条1項14号)
七、指示的フェアユースの明文化
改正案では、指示的フェアユース (Nominative Fair Use)は、他人の商標権による拘束を受けないことを明文化した。(改正案第36条1項2号)
八、国際消尽の原則にかかる例外の追加
改正草案では、現行商標法で採用している国際消尽の原則について、その例外を増やす。つまり、商品が市場に流通した後、第三者に無断で加工、改造されたものに対しても、商標権者は依然として商標権を主張できる。(改正案第36条2項)
九、権利侵害の有無の認定手続の簡素化
商標権者が税関の通知を受け、権利侵害の有無の認定手続を行う際、必ずしも自ら税関に赴く必要は無いとされた。(改正案75条)