台湾知的財産局(以下、TIPO)は、2020年10月中旬に公式ウェブサイトにて、2021年1月から「スタートアップ積極型審査プログラム(中国語:新創產業積極型審查方案)」を試行することを発表した。このプログラムは、研究開発能力を備えるスタートアップ(start-ups)が早く特許を取得し、特許権を有することによって融資を受けるのに有利になることを目的としている。
TIPOのレポートによると、このプログラムを適用できるスタートアップは、台湾の会社法又は外国人の本国法に基づく、設立から5年未満の企業である(下図参照)。
5年未満とは、スタートアップの設立日から特許出願の出願日までが5年未満であることを指す。優先権主張を伴う出願の場合は、その優先日を出願日の代わりとして計算する。また、共同出願の場合は、出願人の内の一者が資格に合致していればよいとしている。
このプログラムに申し込めるタイミングは、当該特許出願がTIPOに受理され、実体審査に入るとの通知を受けてから、1回目の審査意見通知が送達される前までである。
申し込み方法は書面に限られ、そのスタートアップが外国企業である場合は、会社設立日証明書類とその中国語訳も必要となる。また、その証明書類がコピーである場合は、更に声明書の提出も求められる。

本プログラムの審査の流れは次の通りである。

- TIPOが積極型審査の適用を認めると、申し込み後1ヶ月以内に面接通知書が発行される。通知書には、発見された特許要件に関する疑問や、検索された先願の情報が記載され、1ヶ月以内の面接日が指定される。
- また、もし積極型審査が行われ、不特許事由が発見されなかった場合、TIPOはプログラムの申し込み後1ヶ月以内に特許査定書を発行する。
- 面接は面接通知書発行後1ヶ月以内に行われ、その形式はいわゆる「積極型面接」である。これは一般的な面接と異なり、審査官がより積極的かつ指導的な立場で出願人と意思の疎通を図るものである。具体的には、どのように請求項を補正すれば特許査定を下すことができるかを審査官が考えついた場合、出願人に対してそれを提案することが挙げられる。その提案には、明細書や従属項に記載されたどの技術的特徴を、(独立)請求項に追加すれば認められるのかといったことも含まれる。そして、当然ながら、出願人も自らの対応方針を述べることができる。つまり、このような積極的な意見交換を通じて、出願人と審査官の早期合意を目指すこととなる。
- 面接が終わった後、出願人が1ヶ月以内に面接で合意した内容に補正することができれば、TIPOは補正を受けてから1ヶ月以内に特許査定を下すとしている。
- 反対に、出願人が期限までに補正をしないとき、或いは合意した内容に沿って補正をしない場合、審査官はその案件を一般的な審査手続きに差し戻し、一回目の審査意見通知を発行することになる。
最新情報によると、このプログラムはまず2021年1月1日から半年間試行されるとのことである。この試行期間には30件の出願のみプログラムが適用され、成果が良好であれば、その後規模を拡大して実施されることになる。
なお、試行件数が30件に達した際には、TIPOは公式ウェブサイトにて本プログラムの受付一時中止を発表する。
TIPOはこのプログラムのメリットとして、次の点を挙げている。
| (1) |
スタートアップが特許出願に関する先願を迅速に知ることができる。 |
| (2) |
このプログラムを利用することで、特許要件を満たしていれば、申し込み後1ヶ月で特許査定書が発行される。特許要件を満たしていなかった場合でも、早ければ4ヶ月で特許を受けることができる。 |