TIPO(台湾特許庁)は、2020年8月25日に「特許出願第三者情報提供作業要点(原文:發明專利申請案第三方意見作業要點)」を公布し、9月1日から施行した。この要点は、長きにわたり行われてきた第三者情報提供制度の実務運用を明文規定するのみならず、更に重要な点として、これまでに行われた方法で生じた課題を解決するものとなっている。例えば、①送付された情報を審査履歴で公開する、②第三者情報提供があったことを、出願人に自発的に通知する、③第三者が送付した情報を出願人が閲覧することができる等が挙げられ、いずれも国際的な制度に準じたものとなっている。
この制度のメリットは、(1)審査官の検索時の欠漏を補うことができる、(2)利害関係者が、無効審判が請求できる特許査定後まで待つ必要がなくなり、タイムリーな効果が得られ、コストカットもできる、(3)公衆の参与が認められることで、審査レベルの向上に役立つ、等が挙げられる。この為、多くの国家や機関でこの制度が導入されており、台湾も例外ではない。
台湾専利法施行細則第39条では、「特許出願の査定前において、何人も、該発明が特許を受けるべきでないと認めたときは、専利主務官庁に意見を陳述することができ、意見及び関連証明書類を添付することができる」と規定している(注1)。
TIPOがこの規定に基づいて第三者情報提供制度を導入してから、長い時間が経過しているが、時が経つにつれ、改善すべき箇所がいくつか見られるようになってきた。例えば、(ア)第三者が情報提供可能な時期が理想的でない(注1)、(イ)第三者が情報提供時に秘密保持希望欄にチェックを入れることにより、情報が公開されなくなったり、出願人が参照できなくなったりする、等がある。
このような瑕疵を無くすため、TIPOは各方面に意見を求めてから、上記の「特許出願第三者情報提供作業要点」をまとめ、公布した。以下にてその主な項目を説明する。
- 特許出願の査定前において、特許出願人以外の何人(以下、第三者という。)も、意見を陳述することができる。情報提供者が「個人情報の公開に同意する」という選択肢にチェックを入れた場合を除き、自動的に「提供者の個人情報を公開しない」に設定する。
- 情報提供時には、提供用フォームに記入し、出願番号を明記し、引用文献の一覧表・意見書及び関連証明書類を添付する。
- 情報提供は、書面又はTIPOのオンライン出願システムで行う。
- TIPOは出願人に第三者から情報提供があったことを伝え、出願人が閲覧により情報の内容を調べることができる。
- 情報が提供された後、TIPOが情報提供者に該情報の処理状況や出願の審査結果を知らせることはしない。
- 第三者が提供した引用文献の一覧表は、出願の早期公開時又は査定公告後にTIPOの専利公開情報検索システムにおいて調べることができる。


注1:以前、専利法施行細則第39条において、情報提供可能時期を出願の「公開後から査定前まで」と規定していたが、特許出願の初審での平均審査終結期間が2019年末の時点で約14か月となっており、特許出願が公開される前に査定が下されることもあった。この為、第三者が情報提供をすることができなくなることを考慮し、2020年6月24日に専利法施行細則第39条を改正し、情報提供可能時期を「査定前まで」とし、「公開後から」という制限を無くしている。