バッグの外観が著作権により保護されるかどうかについて、以前当事務所のウェブサイトで取り上げた知的裁判所の案例があり(註1)、一審判決はそれを美術著作物であると認めていた。
近頃、裁判所はその二審判決(下記「本判決」という)を下し、そこでは一審判決と異なり、控訴人(註2)のバックの設計は著作権により保護することができないと判断された。それでも、被控訴人(註3)の行為はやはり公平交易法第25条に違反すると判定して、一審判決の結果を維持し、被控訴人に対し侵害行為の停止及び損害賠償責任を負うよう命じた。
本判決では、バッグの外観が著作権により保護できない主な理由として、実用性のある商品外観が人の思想や感情を表現するわけではないので、美術著作物に該当しないことを挙げ、下記のように述べている。
- 商品の外観や設計に実用的な特徴がある場合、その外観や設計は商品の機能を発揮するためのものであり、美術の技法を使って人の思想や感情を表現する目的とした創作ではなく、著作権法により保護される芸術創作または美術工芸品など著作物とは性質が違う可能性がある。
- 公共政策と公正な取引環境を保つための観点からみると、実用性のある商品外観や設計は、商品の使用機能や経済利益をより良く発揮することができ、その業者は市場で有利な地位に立つこともできる。従って、こういった実用性のある商品外観は、美的鑑賞の目的を満たすためではなく、また、美的特性を特徴として創作したものではないため、業者は長い間にわたって使った事実があるとしても、業者が独占状態によって取引秩序を乱す事態を回避する理由として、著作物として認め難い。
- 以上に基づくと、控訴人が所有する三種類のバッグ設計は、消費者に持ちやすさや収納機能を発揮させることを目的とし、思想または感情を創作的に表現したものではなく、美術著作物ではないというべきであり、著作権法において保護される対象ではない。
本判決は著作権に関する控訴人の主張を棄却したが、本裁判において控訴人は公平交易法に関する権利を同時に主張したので、さらに被控訴人が公平交易法に違反するかどうかについて判断が下された。
裁判所は、控訴人が提出した証拠により、それらのバッグの外観が「著名表徴」であるとまでは至らないため、公平交易法第22条に該当しないと判断し、控訴人の上記の主張も棄却した。しかし、被控訴人が販売した商品と控訴人のバッグ設計は高度に近似しているため、市場の取引秩序に多大な影響を与えるおそれがあり、著しく公正を欠く行為に該当し、公平交易法第25条に違反すると判断した。その結果、本判決では、被控訴人が商品を販売してはならず、控訴人に台湾元六百万元の賠償金を支払うべきと、第一審と同じ結論を維持した上、さらに被控訴人に新聞に謝罪広告を掲載するようと命じた。
二審の判決を経て、改めて振り返って見ると、裁判所はこのような実用性のある商品外観や設計を著作権により保護するかどうかについて、真逆な結論に至ったことが分かる。本件はまた上告できるので、今後の実務の動向を引き続き注目しなければならない。
註1:一審判決の分析について、当事務所ウェブサイト2018/10/24に掲載された「バッグの外観が著作権により保護されるか」にご参照ください。
http://www.saint-island.com.tw/JP/News/News_Info.aspx?IT=News_4&CID=496&ID=1225
註2:フランス会社セリーヌ(CELINE)及びフランス会社ジバンシィ(GIVENCHY)である。
註3:2R社である。