SAINT ISLAND INTELLECTUAL PROPERTY GROUP

ニュース

ニュース

不実広告に関する新たな判例

  台湾「公正取引法」(中国語「公平交易法」)第21条に、業者は、商品又は広告において、商品と関連し取引を決定することに影響を及ぼすに足りる事項につき、虚偽、不実又は誤解を招く表示をしてはならないという規制がある。

  所謂「不実広告」の具体的な内容は、常に各業界の関心事である。主務官庁である台湾公正取引委員会(中国語「公平交易委員會」。以下は「公正委員会」と称す。)は、オフィシャルサイトで例示内容を挙げている。それには、広告における客観的な説明として「一位」、「チャンピオン」等の最上級表現を挟んでいながら、客観的に裏付けるデータがないものや、効果を吹聴しながら実際は科学や実験で裏づけていないもの等が含まれている。近頃、「不実広告」の判断基準について具体的に指摘する、最高行政裁判所の新たな判例が生まれた(案件番号 108年度判字第232号行政判決)

  A通信会社は、お得なキャンペーンプラン(以下は、係争プランと称す)の広告を配信・掲載し、その内容に「月額999台湾元で、固定電話、携帯電話、同社宛・他社宛を問わず通話し放題+データ通信し放題?!」という宣伝文句があった。公正委員会は職権により本件を調査し、取引を決定することに影響を及ぼすに足りる当該サービス内容に、虚偽、不実又は誤解を招く表示が含まれ、不実広告であると判定して、60万台湾元の科料に処した。A社はこれを不服として、台北高等行政裁判所に行政訴訟を提起した。

 台北高等行政裁判所は、次のように述べている。
係争プランに通話上限があるにもかかわらず、月額999台湾元で通話し放題及びデータ通信し放題であると第三者に誤解されるに足りる内容が確かにあった。当該広告において、極めて小さな字で制限条件である「注意書き」または「詳細は各店舗にお問い合わせ下さい」という表示がなされていたが、広告自体の宣伝文句の字の大きさとはあまりにもかけ離れていたために、全体から見てみると顕著とはいえず、一般的な消費者の認識の誤りを正すほどには至らなかった。なお、広告の中に「?!」という句読記号がつけられてはいたが、せいぜい消費者の目を当該広告に引きつけさせる程度のものに過ぎず、係争プランに制限条件があると注意を促すまでには至らなかった。さらに、当該制限条件こそ、消費者が取引をするかどうかを決定する重要な参考点であったと言える。

 結果的に台北高等行政裁判所は、当該広告に虚偽、不実又は誤解を招く表示があると認め、A社の訴えを棄却した。A社はさらに、最高行政裁判所に上告した。

 最高行政裁判所は、次のように判示した。
広告に、取引相手が誤認或いは決定をミスリードする虞れがあるかどうかは、取引に関する重要な情報が掲載されている位置、字の大きさと大きさの比率、及び字の色などを合わせて斟酌しなければならない。

 広告に虚偽、不実又は誤解を招く表示があるかどうかについては、その実情との違いの度合で、一般的な知識・経験を有する関連消費者が、合理的な判断を下し取引を決めることに影響を及ぼすに足りるかで判断する。当該広告の表示が、消費者が取引するかどうかを決める重要な判断要素であった場合、事業者はより高い注意義務を負うべきである。そうした場合、事業者は、キャンペーンの制限条件を十分に知らしめることで、消費者が誤った認識で決定を下す虞れを避けられる。もっとも広告は、ある程度の表現自由が許されるものであるが、その強調された効果や特典内容が、消費者を誤認へミスリードすることに足りる場合、消費者の権利を損なうどころか、競合他社に対しても立派な不正競争に該当して市場の取引秩序に影響を及ぼした場合は、公正取引法における不実広告規制に違反することになる。たとえ、消費者が後で各店舗の従業員からの説明を聞き、または実際に取引している過程において、すべての実情がわかるようになったとしても、当該事業者が不実広告を配信・掲載して市場取引秩序に影響を及ぼしたと認定されることに変りはなく、その責任を阻却することはできないと判示した。

 係争プランは、虚偽、不実又は誤解を招く表示があるため、たとえ広告の端に制限条件が掲載されていたとはいえ、お得なキャンペーン宣伝に掲載されている字の大きさとはあまりにもかけ離れていたため、一般的な消費者が必ず気づくとは認めがたい。これにより最高行政裁判所は、本件について、消費者に誤認させるに足りるもので、公正取引法第21条にある不実広告規制に違反するとして、A社の上訴を棄却した。

 最高行政裁判所が本件において提示した不実広告の定義は、まさに注目すべきものである。事業者の広告表示が、消費者が取引するかどうかを決める重要な判断要素に係わっている場合、消費者に十分に情報を知らしめるに足りるように表示をすべきである。消費者をミスリードさせる虞れがある場合、実害を与えたかどうかにかかわらず、公正取引法違反と認められる可能性があるということに留意しなければならない。

Back