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知的財産権に関わる行政不服申立制度の改革

台湾の知的財産局は、2019年2月25日に知的財産局の審判決定に対する行政不服申立制度の改革案に関する公聴会を開いた。知的財産局の報道発表によると、その検討中の改革案には「手続の簡素化」及び「対審主義の導入」の二つの目標がある。

まず、手続の簡素化について、現行の法令では、知的財産局による専利出願、商標出願の拒絶査定、又は専利、商標の無効審判の審決に不服申立をする場合、終局的な解決に辿り付くまでに、最多で三段階の手続を踏まなければならない場合がある。この三段階の手続は即ち、経済部(経済産業省)の訴願審議委員会にて行われる訴願(行政不服)手続、知的財産裁判所にて行われる行政訴訟の第一審手続、及び最高行政裁判所にて行われる行政訴訟の上告審手続である。

なお、知的財産裁判所と最高行政裁判所の判決傾向と比べると、訴願審議委員会が知的財産局の判断結果を維持する傾向が目立つ。その理由は、訴願審議委員会に訴願委員が専利に係る訴願を審理する際に訴願委員に協力できる、科学技術に明るい人材が足りないためであると思われる。

現在改革案では、訴願手続を省き、米国、日本、韓国、中国の諸外国の制度に倣い、知的財産局の内部に上級審査官で組織される審判部(中国語名:専利商標複審及争議審議組)を設けることが検討されている。この審判部が出願の拒絶査定又は無効審判の審決への行政不服申立手続を取り扱うことにより、本来知的財産局の外部で行われる三段階の手続が二段階になり、簡素化が図られる。

次に、知的財産局内の審判部で訴願審議委員会に代わる正当性を高めるために、審判部の審理に対審主義を導入することが目論まれている。現行の制度では、例えば専利の無効審判で専利が無効にされた案件が行政訴訟で争われる場合、知的財産局が被告となっているが、対審主義が導入されれば、実質的な当事者(例えば専利権者と無効審判を請求した者)の間で口頭弁論が行われるほか、一方当事者が審判部の決定に不服である場合、知的財産局に引き換え、他方当事者を被告として知的財産裁判所に提訴することとなる。

実際に知的財産局が2018年3月に導入した専利無効審判のヒアリング制度(http://www.saint-island.com.tw/JP/Knowledge/Knowledge_Info.aspx?IT=Know_0_4&ID=1239&CID=504)は、台湾の知財専門家に上記の改革案のリハーサルと見なされている。このヒアリング制度は対審主義に近いもので、当事者が知的財産局の審決に不服である場合、訴願を経ずに直接知的財産裁判所に提訴することとなっている。一年近くに渡った実験を経て、知的財産局はついに制度改革に本腰を入れているようである。

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