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インターネット社会における「国際裁判管轄判断」についての判例

  知的裁判所は、最近、「107年度民著抗字第1号民事決定」において、インターネット販売にまつわる知的財産事件に対する国際管轄権の有無について見解を示した。

  本件において、台湾人である甲は、自分の創作物が著作権法による保護を受ける著作物であり、日本会社である乙社が、日本でウェブサイト及び店頭で甲の著作権を侵害している商品を販売し、他の台湾人が乙社のサイトや店頭より仕入れてきたために、権利侵害商品が台湾において流通しはじめたことを主張した。そのため、甲は、侵害行為の差し止め及び損害賠償、乃至日本の新聞で判決書を掲載することを請求の趣旨として、台湾の知的財産裁判所に訴状を提出した。

  乙社は、被告の住所地は日本国にあり、製品の産地は中国、また販売地は日本であり、乙社は特に台湾まで輸出していないことを挙げ、本件につき台湾の裁判所は国際管轄権を有しないと主張した。受訴の裁判所は、乙社の抗弁を取り上げ、台湾は加害行為地にも結果発生地にも該当しないため、管轄権の欠缺として甲の訴えを却下した。甲はその決定を不服として抗告し、抗告審である知的財産裁判所は、【107年度民著抗字第1号民事決定】を下した。

  不法行為により訴訟を提起した場合、不法行為のなされた地における裁判所は管轄権を有すると、台湾民事訴訟法第15条第1項に明文規定されている。今までの判例によると、加害行為地、または一部の行為地、一部の行為の結果発生地にある裁判所のいずれも、管轄権を有するとされてきた。本件の抗告審は、インターネット社会において、無体財産権である知的財産権の渉外(国際的)訴訟で、今までの加害行為地や結果発生地が管轄権を有する旨を根拠として臨むことは、管轄権の適用を過度に拡張することになりかねないと指摘した。その上、商品の主な取引地域や流通地に該当することに、客観的に行為者が予見性を有する等の理由で、加害行為地という管轄権要素を限縮することが可能であると判示した。この場合、国の間の交流が密接であるか否か、言語または文化の背景に共有する部分があるか否か、インターネットにおける交流の頻度が高いか否か等の事柄を、商品の主な取引地域や流通地に該当するか否かの判断要素とすることができるわけである。例えば台湾と日本は、交流が密接の上、同じく漢字文化圏にあるため、需要者の間でよく使用されているウェブサイトにおける販売も、同じ取引地域や流通地と見なす可能性はやはりあると判示した。

  インターネットに係る国際管轄権の判断について、台湾の法律に明文規定がまだ確立していない現状のもとに、直ちに内国の民事訴訟法の規定を類推適用すべきではなく、条理に従い、国際民事訴訟の判断基準を取り入れ、案件ごとに利益衡量すると、抗告審は更に判示した。即ち、当事者間の実質的な公平に基づき、裁判の適正・迅速・費用的な経済性・証拠調べの便利さ、将来下される判決の執行可能性などの基準により、台湾の裁判所はこれを取り扱うことが相当であるか否か、即ち国際管轄権を有するか否かを決めるべきであるとした。

  抗告審では、台湾は本件の渉外的民事事件の不法行為の結果発生地であり、甲より提示された日本のウェブサイトによる係争商品の買い物の流れにより、係争商品は、乙社、または乙社が株式の100%を保有するその子会社により販売され、そのウェブサイトにより、台湾まで商品が流通してきた。乙社のウェブサイトには中国語で、「海外からご購入のお客様へのご利用ガイド」と書いてあり、そして台湾と日本の交通の利便性や文化の共有度合が高い等という理由で、乙社は、台湾がそのウェブサイト取引の主な市場であることに予見性を持っているはずである。尚、条理により利益衡量をしたところ、乙社は、台湾の対日窓口機関の転送により、訴えが提起されて2ヶ月以内にすでに訴状を受け取り、更に1ヶ月以内に直ちに訴訟代理人を依頼し、本件の訴訟行為を行ったため、台湾の裁判所により本件の訴訟を取り扱うことに、明らかな延滞若しくは不経済などの状況はないはずである。更に、判決の執行可能性から判断すれば、台湾と日本の両国とも世界貿易機関(WTO)のメンバーであるため、台湾の裁判所の確定判決でも、日本において申し立てにより執行できるだけでなく、判決結果を日本現地の新聞に掲載することも可能である。従って、抗告裁判所は、本件において台湾の裁判所は管轄権を有することを判示した。

  本件において、知的財産権案件にまつわる事件に、台湾の裁判所の管轄権を有するか否かにつき、直ちに内国の法律を類推適用する代わりに、国際民事訴訟手続きの判断基準により決める傾向が見られる。即ち、裁判の適正性、証拠方法が所在国、判決の執行可能性などより斟酌されている。更に、インターネット社会の地域概念は、すでに地理的な地域関係を超越しているため、結果発生地という管轄権要素を判断する場合は、案件の事情により判断して考慮するため、一概には言えないのである。

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