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SEO技術の不正利用に対する公平交易委員会の行政処分

    「検索エンジン最適化」(Search Engine Optimization。以下、SEOと称する)とは、適切なキーワードの選定、ウェブサイトの改善、又はページ表示速度の向上等により、検索エンジンの検索結果における、自社の商品又は役務の露出度、クリック数、アクセス数を増加させ、マーケティングの目的を達成するための技術である。従来のキーワード広告とSEOの相違点は、前者が検索エンジン側に費用を支払うことでウェブサイトへのトラフィックを増加させる方法であるのに対し、後者は、各大手検索エンジン(とりわけグーグルの検索エンジン)のメカニズムを解析した上で、自然検索(organic search)で得た検索結果を通じて宣伝しようとする内容をターゲット顧客に伝え、ウェブサイトへのトラフィックを増加させるマーケティング手法である。

    そして、台湾の「公平交易法」(公正取引法)の第25条は、「この法律において別途規定がある場合を除き、事業者はまた他の取引秩序に影響を及ぼすに足りる欺罔又は著しく公正を欠く行為をしてはならない」と規定している。また、台湾の公平交易委員会(公正取引委員会)はかつて数回に渡り、競合業者の名称を自社のキーワード広告の内容に用いることについて、価格・品質競争等を中心とする市場秩序に影響を与え、他人の努力の成果を搾取する行為に属し、公平交易法の第25条に違反する「取引秩序に影響を及ぼすに足りる著しく公正を欠く行為」であると認定していた。

    とは言え、SEO技術を以てもとより自社のウェブサイトと無関係な内容を検索したネットユーザーが自社のウェブサイトにアクセスするように働きかけ、トラフィックを増加させる行為も公平交易法の第25条に違反するのだろうか。これに関し、公平交易委員会は最近、ある公平交易法の第25条に係る事件において肯定的な立場を示した。事件の概要は下記のとおりである。

    この事件で、公平交易委員会の行政処分の対象となったA社とB社(代表者は同一人物)は、「○○市場」、「○○ショッピング」(仮名)というオンラインショップを運営している。公平交易委員会が調査したところ、もし消費者が「○○市場」、「○○ショッピング」のサイト内の検索欄に特定の商品名、例えばCブランドのマットレスと入力して検索をかけた場合、「○○市場」、「○○ショッピング」でCブランドのマットレスが販売されているかどうかを問わず、SEO技術を利用して「○○市場」、「○○ショッピング」に書き込まれたプログラムが自動的に、「○○市場」、「○○ショッピング」を宣伝するためのウェブページを生成することが発覚した。そして、例えば、その後消費者がグーグルの検索エンジンでCブランドのマットレスを検索すれば、検索結果として「Cブランドのマットレスで人気の検索結果――○○市場」、「人気のCブランドのマットレスでおすすめのランキング――○○ショッピング」といったタイトルのウェブページが表示され、その検索結果をクリックすれば「○○市場」、「○○ショッピング」にアクセスするようになっていた。

    公平交易委員会の判断では、A社又はB社が行っていることはSEOを利用し、消費者を自社が運営しているオンラインショップにアクセスするように導く行為である。そして、その行為は自社のオンラインショップのトラフィックを増加させることにとどまらず、消費者が自社のオンラインショップで販売している同種の商品を購入する機会を増やし、本来探そうとしていたブランドの商品を購入する機会を低減させてしまうことにつながっている。A社は、直接特定のブランド名をキーワードとしてキーワード広告に用いていたわけではなかったが、その行為は消費者の正常な検索や商品購入を中断させ、その特定のブランドを運営する業者に対する不正競争行為となるので、公平交易法第25条に違反するとされた。そして、公平交易委員会は、2022年4月12日にA社とB社に対しそれぞれ200万台湾ドル、80万台湾ドルの過料を科すことを決議した。A社は、公平交易委員会の処分に対し行政訴訟を提起する予定であると公表したので、今後の動向について注視すべきである。

    検索エンジンが既に日常生活に欠かせない存在となった現在、検索結果の内容がわれわれの生活に大きな影響を与えていることは言うまでもない。事業者がこのような技術を駆使してマーケティングの手段とするのももちろんのことである。しかし、自社の権益を保護するために、このような技術を利用することについては、関連規制と実務的発展に留意しつつ、必要な場合は専門的な法律事務所に問い合わせるほうが好ましいと言えるだろう。

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