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指定商品の範囲の変動が登録商標に与える影響

    商標登録における商品と役務の区分は、社会の発展につれて増加したり変動したりするものである。そして、その区分の増加や変動により、商標登録後に、指定商品と指定役務の区分、類似群、ひいては上位概念に当たる商品の範囲が変動した場合、商標権の保護範囲に影響が及ぶのかが問題となる。とりわけ、不使用取消審判が請求された場合、商標権者が商標の使用について提出すべき証拠は、区分または類似群の増加や変動により異なるのだろうか。これらの問題について、台湾の最高行政裁判所が2022年1月に下した110年上字第51号判決は、登録時の事情を考慮に入れてもよいという見解を示している。

    この事件の概要は下記の通りである。本件の商標権者は2003年に商標出願を行い、「コンピュータハードウェア、コンピュータソフトウェア、電卓、レジ」を指定商品として商標登録を受けた。その後、当商標の存続期間は2024年4月15日まで更新された。そして、2019年4月24日、当商標は第三者により取消審判を請求された。取消審判手続において、商標権者は、当商標の使用証拠として、取消審判の請求前の3年以内に当商標を使用したバーコードプリンターを販売したことを示す証拠を台湾の知的財産局に提出した。しかし、知的財産局は、その証拠を確認した後、バーコードプリンターが類似群091703の「コンピュータ応用製品」というサブグループに属し、類似群091701の「コンピュータハードウェア」のサブグループに属していないため、コンピュータハードウェアとは同一性がないとして、当商標が「コンピュータハードウェア」に使用されていないと判断した。

    そして、商標権者は知的財産局の決定を不服として、訴願を提起した。「コンピュータハードウェア」の範囲について、経済部の訴願委員会はその訴願決定で、当商標の登録時に、バーコードプリンターが当時の0917「コンピュータハードウェア」という類似群に属していた上、その機能や販売ルートが一般的なプリンターと明らかな違いがないことから、「コンピュータハードウェア」がバーコードプリンターの上位概念に当たる商品であるとして、当商標が「コンピュータハードウェア」に使われた事実があると認定した。その後、取消審判の請求人が不服として、訴願委員会の訴願決定を取り消すよう行政訴訟を提起したが、知的財産及び商事裁判所も訴願委員会の見解を支持し、訴えを棄却した。

    請求人は引き続き最高行政裁判所に上告したが、「コンピュータハードウェア」という上位概念の範囲が「バーコードプリンター」という具体的な商品に及ぶかという問題について、最高行政裁判所は、当商標の登録時に、0917「コンピュータハードウェア、コンピュータソフトウェア」という類似群は「バーコードプリンター」などの商品を包含していたものであり、後に知的財産局の「商品及び役務区分及び相互検索参考資料」の改正で、0917の類似群が「コンピュータハードウェア、コンピュータソフトウェア」(091701)、「コンピュータ用インターフェースカード」(091702)、「コンピュータ応用製品」(091703)の3つのサブグループに細分されたとは言え、商標権者の権利保護を考慮すると、当商標が091703又は091701の2つのサブグループと同一の性質を持つ製品に用いられたことを認めるべきであるとして、上告を棄却した。

    この最高行政裁判所の判決により、商標登録後に、指定商品又は指定役務の範囲を解釈する際、登録時の事情も併せて考慮することができるようになったため、「同一の性質」の商品の定義が広がったようにも読み取れる。この点について、以前の最高行政裁判所の108年度判字133号の判決における、同じく300602のサブグループに属する「パン」と「ケーキ」が、互いに上下、包摂、オーバーラップ、相当の関係がなく、両者の違いが厳密に区別されるべきであるという見解、及び以前の知的財産及び商事裁判所の105年度行商訴字第79号判決における、商標登録の更新を申請する際、商標権者が自ら指定商品の範囲を確認する義務があり、変動や不足がある場合は更なる出願で補足しなければならないという見解と比べると、やはり今回の最高行政裁判所の判決は「同一の商品」の解釈を適度に拡大したといえよう。

    登録商標の指定商品又は役務に対する解釈について、今回の最高行政裁判所の判決は、従来の関連判決より、より商標権者の権利保護に傾いているように見えるが、主流の見解になれるかどうかはこれから注意を要する。そして、出願人に対しては、今後実務上の指定商品に対する解釈の範囲が変動することで商標権の効力範囲に影響が及ぶことを防ぐために、商標出願を行う際、商標が実際に使用される商品と併せて、その上位概念に当たる商品を指定商品として列挙することをお勧めする。尚、商標権者としては、定期的に登録商標の指定商品と指定役務の範囲が実際に使用されている商品と役務に及ぶかどうかを確認したり、及ばないおそれがある場合、随時新たな出願で補足したりすることで、商標権による保護を万全なものとすることが望ましい。

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