外国人若しくは外国法人は、台湾の裁判所にて民事訴訟を提起する場合、供託所で供託手続きを行うこともよくある。例えば、原告たる外国会社が台湾に住所等を有しない場合、被告の申し立てによって訴訟費用の担保のために供託すること、若しくは仮執行宣言付きの判決が下され、裁判所は職権により原告に相当額の供託を命じることなどである。
知的財産権の訴訟において、「裁判長若しくは担当裁判官(中国語「受命法官」)は、事件の法律関係につき,当事者に焦点のありかを諭さなければならず、且つ適時に法的見解及び適度な心証開示をすることができる。」 (台湾知的財産案件審理法第8条第2項)。そのため、訴訟係属中、裁判官が心証を開示することで両方当事者が譲り合って解決することに前向きになり、その申し立てにより調停手続きに移る。調停手続きにおいて、裁判官の選任した調停委員が先に当事者双方の言い分を聞いて歩み寄ることを促し、調停成立の見通しがつく場合、裁判官の立会いのもと、双方当事者の調停調書が作成される。そのとき、調停成立の片方当事者、即ち被供託者は、「裁判官」の前で、供託取り戻しに対する同意の意思表示をし、調書に明記されることで、供託者は、調停調書を持って、供託を命じる裁判所の管轄区域内の供託所に、供託物の取り戻し請求をすることができる(台湾供託法第18条第1項第8号)。
しかしながら、現在の調停実務において、「司法事務官」が裁判官の代わりに進行を取り仕切ることが多くなっている。ドイツ法の制度を参酌して設けられた「司法事務官」とは、裁判官の仕事負担の軽減を図るために、元々裁判官が担当していた、裁判以外の仕事内容(例えば強制執行、督促手続き)、あるいは、身分や実体法上の権利義務について重大な変動でない仕事(例えば訴訟費用額確定処分)を、司法事務官が取り扱うことになっている。
台湾供託法施行細則の改正法案は2018年の八月の下旬に成立した。新法によると、調停が成立した場合,被供託者は、「司法事務官」の前で、供託取り戻しに対する同意の意思表示をし、調書に明記されることでも、供託者は供託所に供託物の取り戻し請求をすることができる(裁判所組織法第17条の2第1項第1号の規定に合わせ,供託法施行細則第16条第2項を改正)。そうすることで、当事者が供託物を取り戻すこともますます便利になるであろう。