台湾専利法では、医薬品に係るの特許権の存続期間延長制度を定めており、第一回の薬品許可証を取得した薬品を対象とする特許の権利期間を最高5年間延長することができる。この「第一回の許可証」は、薬品許可証に記載された有効成分と用途の組み合わせによって判断される。特許期間延長出願が登録査定されると、期間の延長対象となる権利範囲は、第一回許可証に記載された有効成分および用途の範囲に限定される。
最近、台湾知的財産局(以下、知財局)は、ある特許権存続期間延長登録の出願において、許可証に記載された有効成分が延長対象となる特許の範囲に含まれていないとの理由により、同延長出願に対し拒絶査定を下した。本案件にて重要な争点となったのは、有効成分である特定の化合物の水和物が、延長登録出願の対象となる化合物の請求項に含まれるか否かであった。
本案件において、許可証に記載された有効成分は、特定の化合物であるトシル酸塩一水和物(以下、化合物水和物)であり、延長登録出願がなされた特許には、化合物請求項およびその用途請求項が含まれていた。本件では、化合物請求項の文言「化合物またはその薬学的に許容される塩、立体異性体もしくは互変異性体」が、化合物水和物を含むか否かが、主な争点となった。特許権者は審査において、許可証の有効成分欄には化合物水和物が記載されているものの、該許可証は、新規成分にかかる新薬許可証であり、その主要成分は特定の化合物(遊離塩基)であり、薬品説明書や関連文書においても投与量や作用機序は、化合物(遊離塩基)にて説明されている、と強調した。また、特許権者は、特許明細書の特定の段落において、本発明が、水和物などの溶媒和物をその発明に含むことを開示しており、ある実施例にて調製された化合物も、その内容から、該化合物水和物であることがわかり、故に、該化合物水和物は化合物請求項に含まれるものと解釈されるべきであると主張した。
知財局は特許権者の見解を採用せず、また、最高行政裁判所の先行判決についても言及した。最高裁判所は、既に、許可証に記載された有効成分が特許範囲に含まれるかどうかを判断する際には、第一回の薬品許可証に記載された有効成分そのものに基づくとの見解を示しており、この場合、本案件では、特定の化合物であるトシル酸一水和物がそれに該当する。延長の対象となる化合物請求項の文言は、「化合物の塩、立体異性体もしくは互変異性体」のみとなっており、化合物水和物を含んでいない。これらのことから、知財局は、第一回の薬品許可証に記載された有効成分は、請求項の範囲に含まれていないと判断し、最終的に拒絶査定を下した。本件は現在行政救済措置中であり、最終的にどのように判断されるかは、今後の進展を待つこととなる。