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改正台湾専利法の要点

   「専利法の一部を改正する法律」が、2019年4月16日付で立法院にて可決・成立した。なお、改正専利法は、台湾政府が別途定める日から施行されます。この度の改正の要点を下記にまとめる。

1.意匠権の存続期間の延長

   意匠権の保護期間が12年から15年に延長される。改正法の施行日までに意匠権の存続期間の満了日を過ぎていない場合、その存続期間は自動的に改正法に則って延長される。

2.特許(登録)査定後の分割出願可能期間の緩和

   出願人は、もとの特許出願又は実用新案登録出願において、特許(登録)査定書の送達日から3ヶ月以内(現行法では30日)であれば、もとの出願を分割することができる。具体的な分割可能時期については下記の表を参照のこと。

 

現行法

改正法

  特許・実用新案登録・意匠登録の出願がTIPOに係属中に分割することは可能か

可能

可能

  初審(※)[1]段階での特許査定後に分割することは可能か

  ※台湾の審査は2段階(初審・再審査)に分かれている。

可能

可能

  再審査段階での特許査定後に分割することは可能か

不可能

可能

  実用新案権の設定登録後に分割することは可能か

不可能

可能

  意匠権の設定登録後に分割することは可能か

不可能

不可能


3.実用新案権設定登録後の全ての訂正請求における実体審査の実施及び訂正の請求可能時期の制限

 

現行法

改正法

  実用新案登録出願について実体審査を行うか(特許性を有するか否かを審査するか)。

行わない

行わない

  実用新案登録出願は、方式審査で却下すべき事情がないと認められれば、設定登録されるか。

設定登録
される

設定登録
される

  実用新案権の設定登録後、いつでも訂正の請求ができるか。

いつでも
請求可能

請求可能
時期を制限

  実用新案権の設定登録後の訂正の請求における審査は、無効審判における訂正の請求以外の場合は、方式審査のみか。

方式審査
のみ

実体審査を行う

  実用新案権の設定登録後の訂正の請求における審査は、無効審判における訂正の請求以外の場合でも、実体審査を行うか。

実体審査は行わない

実体審査を行う


   現在の実務においては、登録設定後の実用新案権の訂正につき、実用新案権者は「いつでも」訂正を請求することができるが、その審査は、無効審判における訂正の請求以外は、方式審査のみである。

   訂正がクレームの内容に係る場合、知的財産局が方式審査のみを行うことの当然の帰結として、クレームの従属関係の調整又は合併以外の訂正は、権利範囲の実質的な変更であるとして、原則的に認められない。このため、実用新案権者が実用新案権の権利侵害訴訟等を提起した場合に、被告(侵害行為者)が知的財産局に無効審判を請求せずに実用新案権の無効の抗弁を主張したときは、たとえ実用新案権者が訂正の請求をしても、無効審判ではないため実体審査は行われず、方式審査のみであることから、無効理由を解消するような訂正が認められる可能性はかなり低かった。

   上記のような問題を根本的に解消するため、この度の専利法の改正においては、実用新案権の設定登録後に訂正の請求がされた場合、全て実体審査を行う一方、訂正の請求が可能な時期を下記の3つの時期に制限することとした。

(1) 実用新案登録無効審判が知的財産局に係属中であるとき。

(2) 実用新案技術評価請求がされてから、知的財産局により実用新案技術技術評価書が作成されるまで。

(3) 実用新案権侵害訴訟等が裁判所に係属中であるとき。


4.無効審判の請求人が審判請求理由補充書又は証拠を遅滞して提出した場合における法的効果の明文化

   現行法では、無効審判の審決前に補充提出された審判請求の理由や証拠について、知的財産局は斟酌しなければならないと規定されている。

   今回の改正では、無効審判の請求人が請求の理由補充書又は証拠の補充をする場合、審判請求後3ヶ月以内に行うか、或いは主務官庁からの通知を受けた後1ヶ月以内に提出しなければならないと明文化される。また、無効審判の審理期間において、民事や行政訴訟が裁判所に係属している場合を除き、主務官庁から通知を受け意見書を提出することができる期間・審判請求の理由補充書や証拠の補充に対する補充答弁の期間内、又は訂正拒絶理由通知に対する応答期間内のみ訂正請求の手続きが認められることを明文化している。

 

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