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新法「労働事件法」の法案が成立

  外資系企業も、台湾において会社を経営する際に、やはりどうしても労働問題、雇用問題などに直面するのであろう。そのため、労働法・労働事件関係の議題につき、現地の企業だけでなく、外資系企業からも関心が寄せられている。2018年11月9日の法案審議会において、新法「労働事件法」が、台湾立法院(国会)の可決により成立した。当該法令の立法理由としては、労働者の多くが経済的に弱い立場にあるため、労働事件をなるべく迅速に解決すべきであることが挙げられる。更に、労働事件において、当事者間の自主的な合意により解決すること、または労使双方の代表も紛争解決手続きに参加するなどの特殊性により、やはり別途特別法を定める必要があり、審理にも専門性が求められているため、新法が制定されることになった。当該法律は、計5章53条があり、その主な内容は以下の通りである。

  1. 各裁判所には、労働法廷を設け、若しくは取扱部を取り決め、労働法専門の裁判官が審理を担当する。
     
  2. 労働事件の定義を広く捉える。
    一般的な労働事件だけでなく、労働組合とその組合員との間の組合規則に纏わる争議、セクシュアルハラスメント、就職差別、労働災害、組合の活動、競業避止、乃至その他の労使関係により生じた不法行為の争議などは、皆労働事件に属すると、その定義を広めた。
     
  3. 労働調停委員会を設置し、特殊な調停手続きを設ける。
    これはある程度、日本法を参考にして定められたものである。労働法廷の裁判官1人と、労働関係に関する専門的な知識経験を有する調停委員2人により、労働調停委員会が結成され、労働調停を取り扱うこととなる。労働調停委員会は、適宜に調停を試み、双方の歩み寄りを求め、合意がまとまらなければ、事案の実情に沿い、職権により適切な調停案を提案することができる。但しこの委員会はあくまでも調停のために設置するものであり、日本法のように労働審判を行うことはできない。
     
  4. 手続き上は、労働者を保護する。
    例えば、労働契約に載せてある労働事件の第一審裁判所についての合意管轄条項について、もし片方の当事者が労働者であり、その条項が著しく公平を欠く場合、労働者は、直ちに管轄権を有するほかの裁判所に起訴することができる。
    なお、特定の訴訟類型において、労働者側の裁判費用の軽減または納付猶予を認める。そして、労働者が原告である訴訟においては、雇い主側に立証責任を負担させ、法令により用意しなければならない文書を提出する義務が課される。その他、裁判所には、手続きを迅速に運ぶ義務があり、よほどに複雑な案件を除き、原則的に第一審の労働事件は、六ヶ月以内で審理を終了しなければならない。
     
  5. 有効的な権利保全。
    労働者が保全処分を申し立てる時に、処分を求める理由を明らかにする義務、及び立担保義務を軽減させ、仮の地位を定める仮処分の要件を明確にし、労働者が雇用関係存在確認の訴え、異動配転命令無効確認の訴え、復職の訴えを提起する際の権利保全を強化した。また、労働者側が勝訴となり、会社側が給付側となった場合、裁判所は職権で仮執行宣言を付さなければならない。そして、雇い主に特定の行為若しくは不行為を命じる際、労働者の請求により、雇い主が期限までに履行しなかった場合、裁判所が職権により定めた補償金を代執行として労働者に給付するよう命じることができると定められている。

  この法案が成立したのち、台湾の司法院も引き続き関連措置を定める子法の制定作業を始めるという。今後、当該事件法及びこれらの法案が施行されることによって、台湾における労働事件の解決に、ある程度の影響を与えるであろう。

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