台湾商標法は2023年5月24日に改正され、その中には商標登録出願早期審査制度が新たに加えられている。
改正商標法第19条第8項では、「商標登録出願において、出願人が即時に権利を取得する必要がある場合、事実及び理由を釈明し、早期審査料を納付した後に、商標主務官庁により早期審査をすることができる」と定められている。しかし、商標主務官庁がすでに当該出願に対し補正通知や拒絶理由通知を送付しているときは適用されないこととなっている。
また、知的財産局はさらに「商標出願早期審査作業手続き草案」を制定している。
この早期審査作業手続きの概要は以下の通りである。
一、早期審査が適用される案件の種類を明文化
(一) 対象1:商標出願が指定している商品・役務について、全て実際に使用している、又は使用の準備を相当程度進めているもの。
ア、いわゆる「実際に使用している」とは台湾で商標として使用していることを指す。
イ、いわゆる「使用の準備を相当程度進めている」とは商標が予定している市場販売の使用状況に近づいていることを指す。
(二) 対象2:出願人(又はライセンシー)が、指定する一部の商品または役務に実際に商標を使用している、又は使用の準備を相当程度進めており、そして商業的に権利を主張する必要性及び緊急性があるもの。
次の状況の一に該当する場合、出願人に商業的な必要性及び緊急性があると見なすことができる。
(1) 第三者が出願商標を無断で使用している、又は使用の準備を相当程度進めているとき。
(2) 出願商標の使用について第三者から警告を受けているとき。
(3) 出願商標について第三者から使用許諾を求められているとき。
(4) 出願商標の商品・役務の発売・提供が計画されており、且つ協力メーカーと販売又は代理販売等の関連契約を結んでいるとき。
(5) 出願商標の商品・役務の展示会出品が計画されており、且つ展示会運営団体と関連契約を結んでいるとき。
(6) その他の商業的な必要性や緊急性を証明するに足るとき。
二、早期審査申請の手続きを明文化
(一) 申請時期:商標登録出願と同時又は遅くとも知的財産局が1回目の審査意見通知を発行する前までに行わなければならない。
(二) 商標タイプ:伝統的商標と非伝統的商標のいずれも早期審査を申請することができる。但し、証明標章・団体標章・団体商標の出願は早期審査の対象とならない。
(三) 出願人が明記しなければならない事実理由及び提出すべき使用証拠のうち、商標を実際に使用した証拠は、以下が求められる。
ア、実際に商標を使用した証拠は、登録出願をする商標態様と完全に同一でなければならない。
イ、使用証拠には、確定日付の証明が必要であり、その上に表示された日付及び商標使用者にも注意しなければならい。
ウ、商標の使用証拠は、出願人自身又はライセンシーの使用を対象とし、第三者の使用証拠であってはならない。
(四) 早期審査の政府料金はNTD$6,000/1件1区分とする。
三、早期審査に要する時間を明文化
早期審査は政府料金を納付した日から立案され、立案後2ヶ月以内に1回目の審査意見を通知し、出願人が補正又は応答後15営業日以内に査定書を作成しなければならないことを明文化した。
