台湾知的財産局(以下「知財局」という。)は先日商標法の改正について公聴会を開き、その後2019年11月26日付にて商標法改正草案を公表した。これから2ヶ月かけて、各界から改正に関する意見を求めるという。今回の改正ポイントは次のとおりである。
一、商標代理人の資格
現行商標法では、商標代理人は中華民国内に住所があれば代理できるとしているが、今回の改正草案では、弁護士又はその他の法律の規定により商標代理業務を行うことができる者を除き、商標代理人の登録資格、商標代理人の管理、登録商標代理人の取消し等については、知財局が規定を定める。(改正案第6条)
二、文書の電子方式による送達
知財局が電子方式で文書を送達できることを明文化する。(改正案第13条)
三、出願人資格の追加
自然人及び法人のほか、改正草案では、パートナー組織、行政機関、法律に基づいて設立された非法人団体又は商業登記法に基づいて登記された営業主体も商標登録出願できると定める。(改正案第19条3項)
四、早期審査制度の新設
出願人は出願時に、併せて事実及び理由を陳述し、知財局に早期審査を求めることができる。(改正案19条8項)
五、優先権証明文書の種類の変更
現行商標法では、出願人は優先権を主張するとき、基礎出願の主務官庁が受理した出願書類を提出しなければならないとしている。改正草案では、証明文書の種類を出願書類のみから緩和し、基礎出願の主務官庁が発行した証明文書であれば受理される。例えば登録証も認められる。(改正案第20条4項)
六、著名な法人、商号又はその他の団体名称の保護の拡大
現行商標法では、著名な法人、商号又はその他の団体の名称と同一のものは商標登録を受けることができないとしているが、改正草案では、著名な法人、商号又はその他の団体の名称と同一又は類似のものは商標登録を受けることができないとその対象範囲をさらに広める。(改正案第30条1項14号)
七、他人の権利を侵害する商標の無効審判事由への移行
現行商標法では、商標が他人の著作権、専利権又はその他の権利を侵害しており、その判決が確定しているものは商標登録を受けることができないとしている。(現行法第30条1項15号)
しかし、出願中の商標に前記の事由があるか否かは私人間の争いであり、知財局は商標審査の段階では事実の真偽を認定することができないため、改正草案では、前記の商標登録を受けることができない事由を無効審判の事由に移行する。 (改正案第57条2項)
八、指示的フェアユース
現行商標法では、商標の使用がフェアユース(fair use)であれば、他人の商標権の効力が及ばないとしている。この規定の適用を更に明確にするため、改正案では、記述的フェアユース(descriptive fair use)及び指示的フェアユース (Nominative Fair Use)をそれぞれ分けて規定する。(改正案第36条1項1 、2号)
九、国際消尽の原則にかかる例外の追加
改正草案では、現行商標法で採用している国際消尽の原則について、その例外を増やす。つまり、商品が市場に流通した後、第三者に無断で加工、改造されたものに対しても、商標権者は依然として商標権を主張できる。(改正案第36条2項)
十、商標取消の効力発生日の明文化
登録商標の3年間不使用はもっとも多く見られる取消事由である。改正草案では、商標の取消処分が確定したときは、その商標権は第三者が取消請求又は知財局がその職権により取消しを提起した日からその効力が喪失することを明記する。(改正案第66条2項)