医薬品における知的財産権の保護を一層拡充し、医薬関連産業の発展を強化するため、台湾では、医薬品許可証を取得した薬品に対し、特許に関連する2つの特別な制度が適用されている。一つは、2019年8月に導入されたパテントリンケージ制度であり、もう一つは、既に長年実施されている特許権の存続期間の延長制度である。新薬医薬品開発メーカーは、台湾での新薬許可証取得後、当該許可証と関連した特許を精査し、次の2つの制度の利用につき、検討する必要がある。
(1)台湾薬事法におけるパテントリンケージ制度の関連規定に基づいた、新薬許可証を受けた薬品に関する特許のパテントリンケージ登載システムへの登載。
(2)新薬許可証及びその関連特許のうちの1つ特許に基づいた、特許権の存続期間の延長登録出願。
この2つの制度の根拠、申請者、法定期限、形態及び許可証・特許の必要条件などについての概要を以下にまとめた。新薬医薬品開発メーカーのこれらの制度利用における検討の際の参考とされたい。
台湾薬事法におけるパテントリンケージ制度の関連規定によると、新薬の許可証所有者で、薬品に係る特許情報の登載を必要とする者は、当該新薬の許可証受領後45日以内に当該新薬許可証に係る特許リストを提出しなければならない。また、「新薬」とは、台湾薬事法第7条及びその施行細則の規定によると、中央衛生主務官庁の審査を経て認定された以下の薬品を指す。
一、新成分:新しく発明した成分が薬品に用いられているもの。
二、新治療効果・複方:許可を受けた薬品が、新たな適応症、副作用の低下、効用強度・効用時間の改善、又は使用量の改善等の新しい医療効果を備えたもの、或いは2種以上の許可成分を含む複合的製剤が、単一成分をそれぞれ含む薬品より医療効果の優れたもの。
三、新投与経路:既に許可された薬品の投与経路を変更したもの。
また、新薬許可証を得た薬品であれば、低分子の化学製剤、高分子の生物学的製剤にかかわらず、登載することが可能であり、これは、低分子の化学製剤と高分子の生物学的製剤がそれぞれオレンジブックとパープルブックに登載され、別々のプロセスを採る米国の制度と異なっている。また、生物学的製剤(biological preparations)については、現行の台湾薬事法では定義されていないが、現在立法の段階にある薬事法改正案において、化学製剤(chemical drugs)とジェネリック医薬品(generic drugs)、及びバイオ医薬品と類似バイオ医薬品(biosimilar drugs)の関係が、現行の実務に沿って明確に定義されているほか、同改訂案には、生物学的製剤とは、中央衛生主務官庁の審査を経て、生物由来の有効成分を含む製剤であると認定されたものであり、毒素、類似毒素、アレルゲン、ワクチン、遺伝子工学製品、血液派生製品、細胞治療製品または遺伝子治療製品などが含まれている。
パテントリンケージ登載システムに登載することが可能な特許は、物質、組成物または処方、医薬用途に関する特許でなければならず、また、当該許可証に記載された薬物が、当該特許の請求項に係る発明の範囲内のものでなければならない。また、許可証所有者と特許権者が異なる場合、登載にあたり、許可証所有者は特許権者の同意を得る必要がある。中央衛生主務官庁は、登載内容の正確性に関する実質的な審査は行わないが、第三者が登載情報に誤りを見つけた場合、書面にて理由及び証拠を中央衛生主務官庁に提出することが可能であり、新薬の許可証所有者は、書面を受け取った翌日から45日以内に書面にて応答する必要がある。
特許権の存続期間の延長制度は、台湾専利法第53条の規定に基づくものであり、特許権を取得した医薬品又はその製造方法にかかる発明の実施において、許可証の取得が必要であり、かつ、その許可証を特許出願の登録公告後に取得した場合、特許権者は、一回に限り、第一回の許可証をもって特許権の存続期間の延長登録出願(以下、延長出願)が可能であり、申請者は第一回の許可証取得後3ヶ月以内に、特許主務官庁に申請しなければならない。ただし、特許権の存続期間満了前六月以内には、延長出願ができない。また、延長出願における「第一回の許可証」に該当するか否かは、願書に添付された許可証に記載の有効成分及び用途から総合的に判断される。延長出願をする発明に関しては、物の発明(化合物または組成物・処方)でも、または医療用途の発明であってもよく、また、当該薬品の製造方法でもよいが、一つの許可証の延長申請は、一回に限られており、一つの特許の延長出願もまた、一回に限られている。即ち、一度延長出願に使用された許可証または特許権は、他の新たな延長出願には適用することができないことから、延長出願の際には、この点を考慮する必要がある。その他、特許権者と許可証所有者が異なる場合は、延長出願時に、特許権者と許可証所有者の直接または間接での許諾授権関係を示す書類の提出が必要となる。延長出願については実質的な審査が行われており、特に、許可証を取得するために特許を実施できない期間につき、実質的に考慮され、5年を超えない範囲にて、特許権存続期間の延長の可否における最終的な判断が下される。
上述の概要は、下表のとおりである。パテントリンケージ登載及び特許延長登録は、いずれも法定期間内に行わなければならず、許可証の取得後、新薬開発メーカーには、時宜にかなった対応が必要とされる。必要に応じて、専門家の意見を参考にするとともに、異なる制度における特許の保護と運用を検討されたい。
| |
パテントリンケージ制度 |
特許期間延長制度 |
| 法的根拠 |
薬事法 |
専利法 |
| 申請者 |
許可証所有者 |
特許権者 |
| 特許の種類 |
薬品に関する物質、組成物又は処方、又は医薬用途に関する特許 |
薬品に関する物の発明(化合物または組成物・処方を含む)、用途の発明または当該薬品の製造方法の発明 |
| 特許権者と許可証所有者が異なる場合の必要提出書類 |
特許権者の同意(許諾)書。 |
許可証所有者と特許権者間の直接または間接での授権関係を示す証明。 |
| 審査制度 |
審査無し。但し、何人も書面に理由を明記し、証拠を添えて特許に係る情報の誤りにつき申し立てることが可能であり、新薬薬品許可証所有者は45日以内に書面にて応答する必要有り。 |
審査有り。査定後査定書を送達。 |