海外の著名商標は、台湾現地において商標登録をしていない場合、如何に第三者による類似商標の登録又は使用を阻止し、台湾でのブランドの権益を守れるのか?中国で非常に人気のある辛口スパイシーピーナッツのブランド「黃飛紅」(商標の図形は後出)の台湾籍責任者が台湾において登録した当該商標が、登録を取消されたものの、当該商標の中国における知名度がすでに台湾に及んでいることを主張することで、著名商標の防衛戦に成功した。
「黃飛紅」は中国メーカーが製造販売する辛口スパイシーピーナッツのブランドであり、その台湾籍の責任者が2009年に、台湾において自身の名義で「黃飛紅」商標を「辛口スパイシーピーナッツ」等の商品を指定出願し登録された。すると、園庄貿易有限公司(以下「園庄社」をいう)が「黃粒紅」という、ロゴ商標及び標準文字商標を類似する辛口ピーナッツに指定し、商標登録出願した。その後、2013年にそれら「黃粒紅」の関連商標が相次いで登録査定されたことを受け、「黃飛紅」の商標権者は「黃粒紅」商標に対し異議申立を行った。
園庄社側は、上記の異議申立に対する対抗措置として、「黃飛紅」商標に対し3年間の不使用取消審判を請求した。これに対して、知的財産局及びその不服申し立てを審査する経済部訴願委員会は、「黃飛紅」商標の使用は中国に限定され、台湾における商標の使用には当たらず、且つ台湾で商標を使用していない正当な理由がないと認め、「黃飛紅」の台湾における商標登録を取消した。
一方、異議申立にかかる行政訴訟において、園庄社は前記の決定をもって、「黃飛紅」商標は台湾では使用されていないため、台湾においては著名商標でなく、且つ商標権が既に取消されていることから、保護されるべきでないと主張した。しかし、知的財産裁判所は、商標法によれば、著名商標に対する保護は台湾で広範囲に使用されている商標とは限らないため、たとえ中国製の「黃飛紅」辛口スパイシーピーナッツが法規制のため台湾に輸入できないとしても、各種メディアの宣伝、台湾と中国の交流座談会等のルートなど、台湾と中国の交流がかなり頻繁な要因等からすると、「黃飛紅」商標の中国における知名度が既に台湾に及んでいることを十分に認定でき、著名商標として保護されるべきであると認めた。知的財産裁判所はさらに両商標の外観上の類似度合いが高く、実際の使用態様もかなり類似し、且つ実際に同一の商品に使用されていることを考量し、「黃粒紅」商標は、確かに関連需要者に著名な「黃飛紅」商標と混同誤認を生じさせるおそれがあるとして、「黃粒紅」の商標登録を取消した。
この知的財産裁判所の判決によって、外国著名商標が他人に同一又は類似する商標を登録されないように、台湾における保護策が強化された。外国において先使用されている商標が著名商標となる程度まで十分なブランディングが広範囲に行われ、台湾の需要者が当該著名商標の知名度を知り得るまでになったことに係る証明、例えば台湾需要者が海外通販又は実際に海外で当該ブランドの商品を購入した注文履歴、台湾メディアによる当該ブランドについての報道記事、台湾需要者が頻繁に当該ブランドのウェブサイトを閲覧することに係る証明等を提出できれば、たとえ台湾において実際には未使用又は未登録であっても、第三者が同一又は類似の商標を登録するのを排除することが可能であり、ブランド経営者の権利を守ることができる。よって、ブランド経営者は毎回の使用に係る証拠を知名度の証拠として適切に保存するべきであり、このようなブランディングの一つ一つの布石が将来的に著名商標の基礎となりうる可能性が大きい。

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