2018年1月末に公布・施行された台湾薬事法の改正案において、医薬品の「パテントリンケージ制度(patent linkage)」が台湾に初めて導入された。パテントリンケージ制度とは、後発医薬品(以下、ジェネリック医薬品と称す)メーカーがジェネリック医薬品許可証を申請する際に、当該先発医薬品(以下、新薬と称す)に係る特許権を有する先発医薬品メーカーに確認を行うことにより、医薬品特許権に係る訴訟等の早期解決を図る仕組みである。
台湾薬事法におけるパテントリンケージ制度の関連規定によると、新薬薬品許可証を取得した後、新薬の許可証所有者は、新薬薬品許可証を取得した翌日から45日以内に、中央衛生主務官庁に対して、当該新薬の特許情報、すなわち、当該新薬に関連する物質、組成物、配合、又は医薬用途等の発明の特許権に係る資料を届け出なければならず、主務官庁は、パテントリンケージ登録システムにそれらの特許情報を登録する。その後、ジェネリック医薬品メーカーが当該新薬のジェネリック医薬の薬品許可証を申請する際には、申請に必要な書類以外に、中央衛生主務官庁に対し、当該新薬の新薬薬品許可証に登録された特許権に関する次の各号のいずれかにつき表明しなければならない。
- 当該新薬に係るいかなる特許情報も登録されていないこと
- 当該新薬に係る特許権が既に消滅したこと
- 当該新薬に係る特許権の消滅後、初めて中央衛生主務官庁が薬品許可証を発行すること
- 当該新薬に係る特許権は無効理由を有し取り消されるべきであること、又は、侵害されていないこと
ジェネリック医薬品メーカーが上記1号、2号を表明した場合、特許権に係る紛争は起こり得ず、また、上記3号を表明した場合も、特許権の消滅後に許可証を発行するのであるから、当該新薬に係る特許権には何の影響も及ぼさず、いずれもジェネリック医薬品に対し薬品許可証が発行される。(下図の黄色の部分を参照)。ただし、もしジェネリック医薬品メーカーが許可証を申請する際に上記4号を表明した場合、当該申請人は、中央衛生主務官庁から薬品許可証の申請資料が完備した旨の通知が送達された翌日から20日以内に、理由及び具体的な証拠を付した書面にて、当該新薬の新薬薬品許可証所有者に、新薬薬品許可証所有者と登録された特許権者及び専用実施権者が異なる場合は当該特許権者及び専用実施権者にも併せて通知しなければならない。
特許権者又は専用実施権者は、当該通知を受けた日の翌日から45日以内に当該新薬に係る特許権の侵害訴訟を提起するとともに同時に主務官庁に侵害訴訟の提起の旨を通知しなければならない。もし特許権者又は専用実施権者が当該期間内に特許権の侵害訴訟を提起しなかった場合、主務官庁は、ジェネリック医薬品に薬品許可証を発行することが可能となる。しかし、当該期間内に特許侵害訴訟が提起された場合、主務官庁は、新薬薬品許可証所有者が前記通知を受けた翌日から12ヶ月間、ジェネリック医薬品への薬品許可証の発行を一時的に停止する。当該期間内に当該新薬に係る特許権を侵害する旨の確定判決が出された場合、当該ジェネリック医薬品への薬品許可証の発行は、当該新薬に係る特許権が消滅した後に行われることとなる。しかし、当該期間内に当該新薬に係る特許権を侵害する旨の確定判決が出されなかった場合、薬品許可証を申請する際に上記4号を表明し、申請資料を最も早く完備したジェネリック医薬品メーカーが、12ヶ月の市場独占販売期間を得ることができる。主務官庁は、前記市場独占販売期間の満了前に、他のジェネリック医薬品へ薬品許可証を発行することはできない。
パテントリンケージ制度の流れについては、図も参考されたい。

台湾薬事法の改正案は既に公布されたが、パテントリンケージ制度の施行日については行政院の公布待ちの段階である。
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