台湾の民事訴訟法第78条によると、訴訟費用は敗訴する当事者により負担する。訴訟費用の例として、訴えの提起手数料(中国語原文:「裁判費」)、証人の旅費、検証費用等の訴訟の進行に必要な費用が挙げられる。
代理人弁護士に支払う費用について、民事訴訟法により第三審への上告は弁護士に委任する上で提起しなければならないので、民事訴訟法の第466条の3は第三審の弁護士費用を訴訟費用の一部とすると明文規定している。但し、第一審と第二審の弁護士費用については明文規定がない。多数の判例は、第一審と第二審の場合、当事者が弁護士に委任しなければならないわけではないため、弁護士に委任する際に支払う費用は、訴訟費用に含まれないとしている。
一般的には、知的財産案件(とりわけ特許訴訟)の専門性と複雑さは一般的な民事案件のそれより高いので、通常訴訟を提起する際、知的財産案件の当事者は弁護士に委任し訴訟行為をさせる。筆者(弊事務所)が原告の代理人として担当した100年度(西暦2011年)民専訴更(一)字第10号の特許権侵害損事件において、原告は不法行為の規定により、仮の状態を定める処分を申立てた際に生じた弁護士費用の賠償を被告に請求した。裁判所は、「原告が訴訟を扱える専門的知識を有しない」こと、「仮の状態を定める処分の申立の複雑さ」、及び「双方当事者の攻撃防御の具合」等の事実関係を考慮した結果、原告に弁護士に委任する必要があるとし、原告の請求を認めた。
2017年に、知的財産裁判所はさらに105年度(西暦2016年)民専訴字第71号の特許権侵害案件の判決で、特許訴訟における弁護士費用を訴訟費用として敗訴する当事者に負担させることを認めた。当判決によると、知的財産案件(なかんずく特許案件)は、一般的な民事訴訟と異なり、その訴訟上の攻撃防御においては、科学技術と法律の専門知識が必要とされるところが多く、もし当事者に専門的な訴訟代理人の協力がなければ、迅速で良質な審理が期待できない。したがって、特許民事訴訟においては、弁護士が当事者を代理することは強制されないものの、より高い専門性を持つ民事訴訟の審理が司法政策上の目標である以上、少なくとも知財専門の弁護士による代理の必要性を肯定すべきであり、「法律上、弁護士を訴訟代理人として委任することが強制されない」ことが「弁護士費用は必要費用ではない」ことを意味するような固着観念に拘るべきではない。
ゆえに、上記の2017年の判決は、特許案件の審理が技術分析、並びに特許法上の権利一体の原則(All Element Rule)、均等論、請求項に対する解釈等の法的理論の理解と運用に係るため、法律と科学技術の専門家を統合する必要があり、当事者が弁護士を訴訟代理人として委任することを必要な訴訟行為とし、弁護士費用を訴訟費用の一部とした。この判決の注意すべき点として、裁判所は、被告が原告の権利を侵害していないとして原告の請求を棄却したので、原告が被告の弁護士費用を負担すべきであると判断した。
上記の案件から、台湾の知的財産裁判所が次第に知財訴訟において弁護士を委任する必要性を認める方向に向いているようである。当事者は適時に知財訴訟(少なくとも特許案件)においてこの弁護士費用の議題を提出し、弁護士費用の賠償を請求してもよろしかろう。さらに、民事訴訟の各審級において全面的に弁護士を訴訟代理人として委任することを強制するという提案も、今年に当局の司法改革会議の正式な議案になった。もしこの提案が法改正により実現されれば、弁護士費用を訴訟費用として賠償を請求することに新たな勢いを提供し、知財案件の攻防戦略に実質的な影響を与えることが予想される。
-----------------------------------------------------------------------
本ウェブサイトのご利用に当たって、各コンテンツは具体的事項に対する法的アドバイスの提供を目的としたものではありませんことをご了承下さい。