2024年9月11日、台湾知的財産局は「専利法の一部条文改正草案」(以下、「改正草案」。)を発表した。そして、改正法は主に新興デジタル産業の発展やデジタル技術による画像デザインの多元化に対応するもので、国際的なデザイン保護の趨勢を参考にし、産業の実務の需要をも考慮して、設計専利制度を修正するとともに、司法実務の見解を参酌して、本来の専利出願権者が民事ルートでその権利を回復できるようにする上で、関連機制を整えると説明した。
今回の改正草案の内容は、具体的に以下の2点が主軸となっている。
1つ目は、設計専利出願制度に関する緩和であり、内容としては、以下が含まれている。
(1)保護対象の拡大:デジタル技術の画像デザインを設計専利の保護対象とし、画像デザインを必ず「物品」に適用しなければならないという制限を緩めた。
(2)類似設計の合同出願を追加:「複数の類似設計の合同出願」制度を導入し、その訂正・無効審判等の関連規定を合わせて改正する。
(3)グレーズピリオド期間を緩和:設計専利のグレースピリオドを12ヶ月に緩和する。
(4)分割出願可能時期を緩和:設計専利の分割出願可能時期について、初審査又は再審査の登録査定後3ヶ月以内にも行えるように緩和する。
2つ目は、専利出願権と専利権の争議を民事ルートのみで解決していくようにすることである。改正草案では、専利出願権や專利権の帰属に関する争議を無効審判理由とする規定を削除し、正しい専利出人がその権利を取り戻す際に、民事ルートで解決すべきであると明文規定し、関連する規定を追加した。
特筆すべきは、この改正草案が、先の2023年3月に行政院で可決して立法院へ送られた改正案(以下、「2023年版改正案」。)と大きく乖離しているということである。
この度の改正草案には、2023年版改正案に含まれていた「救済段階の簡略・併合化」、及び「双方当事者の対審制に関する規定」が含まれていない。これらには、口頭審理を主として合議制を採用する「複審及び争議審判部(複審及爭議審議會)」の設立、審理決定に不服がある場合に訴願を経ずに訴訟を提起できる旨、「複審訴訟」と「争議訴訟」という特殊訴訟の創設、その後の訴訟の救済に行政訴訟ではなく民事訴訟が採用される旨、終審裁判所が最高行政裁判所から最高裁判所に変わる旨、など現行の専利救済制度を大幅に変更する一連の関連制度が含まれていた。
「救済段階の簡略・併合化」と「双方当事者の対審制」の推進は、2001年の行政院経済発展委員会(行政院經濟發展委員會)による「知的財産権の審査メカニズムの健全化」に関する共同意見、並びに行政院第24回科学技術顧問会議における「専利・商標行政救済二元制度の協調的改善、救済段階の簡略・併合化」に関する決議案の提案にさかのぼる。
度重なる議論と、幾多にも及ぶ紆余曲折、聴聞会の試行を経て、行政院で可決した後、立法院に推進されて審査を待っていたが、立法院は期日までに継続審査を行わず終了を宣告した。
そして、この度の改正草案では、「救済段階の簡略・併合化」と「双方当事者の対審制」に関する内容が削除されており、間接的に一時騒然となった法改正の動きの転換を宣言するものにもなった。
その内容は2023年版改正案ほど争議性が高いものではない。しかし、専利出願権と専利権の帰属に関する争議解決ルートの改正内容が適切かどうか等、各界で異なる見方があり、争議が残されたものとなっている。この為、改正法案の今後の動きについても、引き続き注視していく必要があるだろう。