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映画音楽の共同著作者間の紛争に関する判決

    最近、台湾の知的財産及び商事裁判所は、中国で商業的な成功を得た映画「黙殺」の音楽(以下、本件音楽と称する)の著作権をめぐる事件に対し、判決(113年度民著訴字第20号)を下した。

    本件の原告によると、自身と被告が本件音楽の共同著作者であるが、被告が原告の同意・許諾なしに、台湾の音楽祭で上映された「黙殺」に本件音楽を使用することを「黙殺」の制作会社を許諾したことで、原告の著作権を侵害した。

    一方、被告は、自身が「黙殺」の制作会社から本件音楽の制作依頼を受けた後、費用の支払いを約定して本件音楽の制作にかかわる一部の作業のみを原告に委託したため、台湾著作権法第12条に基づき、被告は出資招聘した者として原告が制作した部分を利用する権利があると反論した。

    そして、裁判所は2024年8月6日に、下記の理由に基づき上記の判決で被告に有利な判断を示した。

  1. 著作権法第8条は、「二人以上が共同して完成させた著作物につき、その各人の創作を分離して利用することができない場合、共同著作物とする」と規定している。また、同法第40条では、「共同著作物の各著作者の持分は共同著作者の間の約定によりこれを定める。約定がない場合、各著作者が創作に参与する程度によりこれを定める。各著作者が創作に参与する程度が不明な場合、均等と推定する」と規定している。
     
  2. 被告が裁判所に提出した証拠資料によると、原告はレコーディング担当、作曲・編曲担当、シンセサイザー担当、ボーカリスト、コーラス、チェリスト、バイオリニストを含む多人数のチームの一員であり、被告は映画の制作会社の依頼を受けて本件音楽の総監督を担当していた。そして、原告と被告の間のやりとりから見ると、両者が本件音楽の制作過程で緊密に討論・協働していたことが分かるので、それぞれの本件音楽への貢献は本件音楽から不可分のものであり、他の成員とともに本件音楽の共同著作者とされるべきである。
     
  3. 被告が音楽祭において映画宣伝のために本件音楽を使用することを許諾したことが不法かどうかについて、原告と被告の間の約定では映画のために本件音楽を使用することについて明言されていないが、被告が本件音楽を使用することを許諾することが双方の約定の許容できる範囲内にあることを示す間接証拠は十分にある。例えば、原告が被告と本件音楽の制作に協働していた際に、本件音楽が映画宣伝のために制作されるものであることや、被告が映画の制作会社の依頼を受けて本件音楽の制作の総監督を担当していることをよく知っていた。それに、両者間のやりとりからは、原告が、自分の創作が今後本件音楽の一部になることや、本件音楽の目的が音楽祭に使用されることを知っていることが分かる。さらに、音楽祭の期間中、原告は全く本件音楽の使用に異論・異議を呈していない。上記の事柄から、被告が本件音楽の使用を許諾することは、両者間の約定に合致し、原告に対する著作権侵害にならないと認定されるべきである。
     
  4. 被告が本件音楽の使用を許諾することは両者間の約定に合致し、且つ被告がその約定を破ったこと、又は被告が原告の著作権法上の他の権利を侵害したことを原告が証明することができない以上、原告の請求は棄却すべきである。

    著作権の行使について、著作権法第40条の1は、「共有の著作財産権につき、著作財産権者全員の合意を経ずにこれを行使することはできない」と規定している。そして、この事件において興味深いのは、知的財産及び商事裁判所は、共同著作者間における黙示の許諾・同意の有無を考慮せずに、被告の使用が原告と被告の間の約定に合致すると判断したという点である。

    そもそも、著作権法第37条では、許諾に関する約定が不明な部分につき、許諾されていないものと推定するとあるので、著作物の使用許諾が存在することを証明することが困難な場合もある。しかし、今回の裁判所の判断は、今後著作物の特定使用に対する黙示の許諾・同意が存在することを主張しようとする訴訟当事者に一つの代案を提示している。

    この事件からのもう一つの教訓として、当事者は著作物の性質を明らかに定義する必要があるのみならず、著作権の帰属、著作物の利用使途を決めなければならない。そして、映画製作会社の観点からすれば、事前予想されていなかった著作権紛争の発生がマーケティングや宣伝に支障をきたさないように、事前に各関連創作者の間の契約関係を明らかにすることの重要性は明白であろう。

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