台湾商標法第64条では、商標権者が実際に使用している商標が登録商標と異なっていても、社会通念上の同一性を失っていなければ、その登録商標を使用していると認められるべきであると規定している。いわゆる「同一性がある」とは、実際に使用している商標と登録商標が形式上やや異なっていても、実質的に登録商標の主な識別特徴を変更していないことをいい、社会通念上や消費者の認識上において、消費者に元の登録商標と同じ印象を与えれば、両者は同一の商標、すなわち同一性を有し、登録商標を使用していると認めることができる。
また、台湾知的財産局が公布した「登録商標使用の注意事項(註冊商標使用之注意事項)3.2.1.1. (3)」では、商標の付属(非主要)部分のみを変更したときは、実質的に商標の識別特徴を変更したわけではなく、係争商標と同一性を有すると認めるべきであると規定している。
近頃、知的財産及び商事裁判所(『知財商裁』。)は、「どのように登録商標の付属部分か主な識別特徴かをはっきりさせて、実際に使用する商標が登録商標と同一性を有すると認定するか」について、具体的に言及した行政判決を下した(知財商裁112年度行商訴字第18号、判決日:2023年12月29日)。
本件行政訴訟の原告は、登録第01888275号『
』商標の商標権者である。上記係争商標は第18、25、27、28類商品を指定使用していた。
参加人は係争商標が連続して3年間使用されていないとして不使用取消審判を請求した。知的財産局での審理において、原告は台湾消費者が代理店ウェブサイトで購入した添付図2・3の商標図案を付した訓練服、スポーツブラ、タイツ、Tシャツなどの注文資料を提出した。しかし、これらに実際に使用されていた商標は、本件係争商標の『USA PRO』文字デザインに3本のカラーストライプ状図柄が組み合わされて構成されたものと同一でなく、係争商標で目を引く左側のカラー線を削除して用いていないものであった。その結果、実際に使用されていた商標は係争商標の主な識別特徴を変更して係争商標図柄と同一性が無く、前記の販売資料を係争商標の使用の具体的な証拠と認められないため、取消成立の処分が下された。
原告は訴願を提起し、その争点の一つは原告が実際に使用した図3の商標と、図1の登録商標に同一性があるか否かというものであった。
知的財産局の意見とは異なり、訴願決定機関は、係争商標における3本のカラーストライプ状図柄は付属装飾図の印象を与え、しかも占める比率も大きくなく、商標全体の主な識別部分はデザイン化した外国語「USAPRO」であると言えるとした。原告は商品上に添付図3の商標を表示しており、係争商標から3本のカラーストライプ状図を省いているに過ぎず、「登録商標使用の注意事項3.2.1.1. (3)」における「商標の付属(非主要)部分のみ変更」と例示された状況にあるため、実質的に商標の主な識別特徴を変更しておらず、係争商標と同一性を有するとした。
これにより、訴願委員会は原告が係争商標を衣服などの商品に使用していると認定したものの、第18、27、28類または第25類の靴などの商品には用いていないと認定した。
原告はこれを不服として行政訴訟を提起したが、この争点について知財商裁は審理後に訴願委員会の意見に同意した。すなわち、原告が上記商品で使用した添付図3の商標図柄を係争商標と比べると、係争商標の左側の3本カラーストライプ状図を省いただけであり、その省いたカラーストライプ状図は直接発音することができないものであり、かつ比率も大きくないため、係争商品の付属部分であり、係争商標の主な識別特徴を実質的に変更してはおらず、社会通念上および消費者の認知上で、消費者に係争商標と同一であるという印象を抱かせ、係争商標図柄と同一性を失っていないため、商品に商標を標示する商標使用行為の態様に合致するとした。
この判決から、商標権者が実際に登録商標を使用する際に、商標の付属部分のみ変更した場合は登録商標を使用していると認められることが分かる。
とはいえ、各案件において商標の付属部分のみを変更して同一性があるか否かについては、依然としてかなりの不確実性があるため、商標権者はやはりできる限り登録商標と同一の商標を使用して、未使用により取り消されるリスクを避けるべきであろう。
「登録商標使用の注意事項(註冊商標使用之注意事項)」3.2.1.1(3)「商標の付属(非主要)部分のみの変更」の例
| 登録商標図柄 |
実際に使用している図柄
(登録商標の使用と認められる) |
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