台湾専利法の規定により、物品の全部又は一部の形状、模様、色彩若しくはこれらの結合であって、視覚を通じて訴える創作であり、産業上利用することができるものは、設計専利を受けることができる。
但し、出願前に同一又は近似の設計がすでに刊行物に見られた設計、又はその設計の属する分野における通常の知識を有する者が出願前の先行設計から容易に思いつく設計であるときは、設計専利を受けることができない。
この為、専利性を判断する際に、製品の工業設計と先行設計の間の差異が、先行設計を参酌してなされた簡易な手法によるものでないか、或いは設計の全体的外観に特異な視覚効果を与えられないものでないかが、「設計が容易に思いつくものであるか否か」の重要な判断要素となる。
この判断要素について、最近の判決の中で裁判所は次のような見解を示している(知的財産及び商事裁判所2022年行專訴字第27号行政判決)。
無効審判を請求された設計専利第D209912号は、下図に開示の「アルミニウム押出型太陽光パネル支柱」の設計であり、その特徴は「矩形枠棒状を呈し、その後ろ側には深さ方向に沿って凹溝が設けられ、前側面に左、右側に向かって突出する縁が設けられている。この支柱断面の中央の矩形枠内に対称に配列された2つの斜め補強リブが設けられ、支柱断面に左右対称に配列された三角形枠と中央付近の台形枠を形成している。」という点にある。
証拠2の引例は太陽光パネル支持構造であり、図3に示されているアルミニウム押出型支柱2は、その断面の主支持板201及び複数の副支持板202が囲繞するように中空矩形に配列され、主支持板201の両側が支柱両側まで延伸している他、該支柱内側の左右の補強リブ203の間に凹溝が設けられている。
証拠3の引例はアルミニウム押出型サッシであり、図2に示されている立枠10には中央から外へ斜めに出た2つの翼状係止片101、102が設けられている。

知的財産局は、以下の理由で無効審判請求不成立の審決を下し、裁判所もそれを維持した。
『係争専利と証拠2・3を比べると、引例2には係争専利の「支柱が矩形枠棒状を呈し、その後ろ側に深さ方向に沿って凹溝が設けられ、前側面に左、右側に向かって突出する縁が設けられる」という設計特徴が開示されている。
しかし、証拠2を図3から見た「補強リブ203が主支持板201に左右対称に垂直であり、主支持板201の断面中央が矩形枠である」と、係争専利を斜視図・平面図・底面図から見た「支柱断面の中央矩形枠内に対称に配列された2つの斜め補強リブが設けられ、支柱断面には左右対称に配列された三角形枠と中央付近の等脚台形枠が形成され、斜め補強リブは中央矩形枠を超えていない」という設計の特徴には、視覚的に明らかな差異がある。
そして、証拠3の図2における「立て枠10に、中央から外側に斜めに出る2つの翼状係止片101、102が設けられ、翼状係止片101、102と中央水平壁の筐体とが左右対称に配列した三角形及び中央の三角形枠を形成するが、翼状係止片101、102は中央水平壁を超えている」という形状は、係争専利の斜視図・平面図・底面図の「支柱断面の中央矩形枠内に対称に配列された2つの斜め補強リブが設けられ、支柱断面には左右対称に配列された三角形枠と中央付近の等脚台形枠が形成され、斜め補強リブは中央矩形枠を超えていない」という設計特徴と明らかに差異がある。
係争専利は斜め補強リブデザインによる「左右対称に配列された三角形枠と中央付近の等脚台形枠」という区画設計等の特徴的な差異に基づくと、すでに十分に証拠2・3の先行設計より特異な視覚効果を表している。』
無効申立人である原告は起訴した上で『証拠3と係争専利の矩形枠におけるデザインにおいて、両者間の微細な差異は2つの対称三角形の間だけであり、三角形、台形は実際に基本的な幾何形状であるため、審査基準によって定められた尺度に照らすと、容易に思いつく変化であると認定されるべきである云々』と主張した。
しかし、裁判所は、『設計専利は複数の先行設計の組合せにより創作性の有無を比較することができるが、やはり全体的に見て、総合的に「特異な視覚効果」を生むかどうかを判断しなければならない。
調べたところ、証拠2・3には係争専利の「左右対称に配列された三角形枠と中央付近の等脚台形枠、斜め補強リブが中央矩形枠を超えていない」という設計の特徴が開示されておらず、係争専利の全体的外観は明らかに証拠2・3と異なる特異な視覚効果を生んでいる。
しかも、係争専利は、アルミニウム押出型製品という設計分野で言えば、すでにかなり成熟した製品であるが、斜め補強リブのデザインによる「左右対称に配列された三角形枠と中央付近の等脚台形枠」という区画デザインの設計特徴は、まだ関連設計分野で見られていない。』と認めた。
原告は再び、『消費者が係争専利の製品を購入する際に、外観から「斜め補強リブ」が見える箇所は、全体的な視覚面積の中で極めて少なく、平面・底面の角度から極めて少ない箇所が観察できるのみであり、「斜め補強リブ」は柱体内に覆われていることから、使用時に特に注意される箇所でもないため、係争専利と証拠2の両者は実に近似で同一の設計である云々』と述べている。
それに対し裁判所は、『係争専利がアルミニウム押出型製品であり、アルミニウム押出型は一定の断面形状を有する物体であることから、設計された型にアルミニウムが押し出され、押し出された棒状物が同一の断面形状を有し、しかも係争専利の「斜め補強リブ」は単一部材でなく、係争専利の「中央矩形枠」を組み合わせて形成された全体的視覚効果がある。
詳述すると、係争専利の斜視図・平面図・底面図の「支柱断面の中央矩形枠内に対称に配列された2つの斜め補強リブが設けられ、支柱断面には左右対称に配列された三角形枠と中央付近の等脚台形枠が形成され、斜め補強リブは中央矩形枠を超えていない」という設計特徴は、係争専利の視覚面積において比較的大きな割合を占め、係争専利の全体的視覚印象に影響を及ぼすに足りている。
しかし、証拠2・3はいずれも係争専利の「左右対称に配列された三角形枠と中央付近の等脚台形枠、斜め補強リブが中央矩形枠を超えていない」という設計の特徴が開示されていない。
前述したように、この差異は証拠2・3から直接置換した簡単な変化ではなく、設計の属する分野における通常の知識を有する者は、証拠2・3を組み合わせて容易に係争専利の創作を思いつくことができないため、原告の主張は採用できない。』と認めた。
この裁判所の意見から、創作性の審査は、専利を受けようとする設計の全体について関連先行設計との比較を行い、その設計の属する分野における通常の知識を有する者が、出願時の通常の知識での観点を参酌して、客観的な判断を下さなければならないことが分かる。
しかも、製品の工業設計にはその全体的形状に専門的な考慮があり、一部の視覚部位の単純な加減や任意の配列・組み合わせで容易に達成できるものではない。
この為、本願のようなアルミニウム押出型製品の設計分野にとって、それはすでにかなり成熟した製品であるものの、斜め補強リブを用いた「左右対称に配列された三角形枠と中央付近の等脚台形枠」という区画設計の特徴をアルミニウム押出型製品に適用したものは、関連設計分野において見られていない上、先行設計とは明らかに異なる特異な視覚効果を生み出していることから、先行設計から容易に思いつくことができない創作であると判断されたものとみられる。
このような見解は、特に全体的な形状の専門的な考慮があり、すでに成熟した設計分野における製品設計にとって、容易に思いつかない重要な理由として考慮できるものであるに違いない。