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商品の外観保護に関する知的財産及び商事裁判所の見解

    2023年6月27日、台湾の知的財産及び商事裁判所は、ある公平交易法(公正取引法)に係る民事事件で、原告の製品のデザインが、著作権またはトレードドレスの保護対象にならないとした判決(111年度民公訴字第8号)を下した。

    この事件は、電子商取引を行う販売業者同士の間で起こった紛争であった。原告が「Lily Rosee」をブランド名とする保湿クリーム(原告製品)を販売していたことに対し、被告は、「Li Yan」をブランド名とする類似品(被告製品)を販売していた。そして、原告製品も被告製品も同じく円筒形のボディーや円形キャップを持ち、且つピンク色のヒアルロン酸水溶液が入るものであった。原告は、原告製品(左下図)が著作権法上の美術著作物に該当する上、被告製品(右下図)が、原告製品に類似した容器の外観を有するため、被告が原告の許諾なしにそのような外観を使用したことは、原告の著作権に対する侵害となるのみならず、トレードドレスに対する侵害、又は公平交易法第22条、第25条の不正競争行為を構成すると主張した。

 原告製品 被告製品

        しかし、裁判所は下記の理由で原告の主張を否認し、被告に勝訴判決を下した。

  1. 著作権の有無について、裁判所は、原告製品における美的表現が著作権保護の対象になるための必要なオリジナリティを示していないと判断した。即ち、裁判所の判断では、原告製品の外見はかなり普通であり、原告製品のアルミキャップ、ガラスボトル、白い「Lily Rosee」のブランド表記、ボトルに入っているピンクの溶液等の要素から考慮すると、他のよく見られる化粧品の外観に類似しており、原告が施した美術上の工夫は見られない。そこで、原告製品の外観は著作権保護の対象とならないとされた。
     
  2. 原告は、被告製品が、“他人の著名なトレードドレス若しくは出所識別機能をもつ表徴に同一の、又は類似したマーク・表徴を使用することで、公衆に混同を生じさせる商業活動”を禁じている公平交易法第22条に違反したと主張した(上記のトレードドレス若しくは出所識別機能をもつ表徴は、未登録商標のみならず、名称、製品の包装、製品の形状、外観、その他の商品又は役務の出所を識別させる表示をも含む)。そして、原告はブログ記事、ネットニュース、消費者のコメント、消費者の問い合わせを含む証拠を提出したが、裁判所の判断では、これらの証拠は原告製品の市場シェアがどれほどか、関連消費者からどれほどの評価を得たかを示していない。そこで、裁判所は、原告製品の外観が公衆によく知られたという原告の主張には根拠がないとした。
     
  3. さらに、裁判所の判断では、公平交易法の第22条における「混同」という概念は、混同が実際に発生したことを必要としないが、原告が、製品の外観の知名度、ターゲット層が重なること、価格の差、ビジネスモデルの類似性、競争関係の存否などを示す証拠で、被告の行為により混同が発生する具体的な危険性を証明しなければならない。裁判所は、原告製品も被告製品も被告が経営していたSHOPEE(ECサイト)の店舗に販売されていたが、混同が発生する具体的な危険性はないと判断した。
     
  4. 最後に、被告が「…事業者はまた他の取引秩序に影響を及ぼすに足りる欺罔又は著しく公正を欠く行為をしてはならない」と規定する公平交易法第25条に違反したという原告の主張について、裁判所は、「公平交易法第25条違反が成立するためには、取引秩序や公正な競争が被告の欺罔又は公正を欠く行為により害されようとすることを明確に証明できる証拠がなくてはならないが、原告が提出した証拠は、被告に消費者を欺罔し、又は誤認させる意思があることを示していない上、何故化粧品業界でよく見られるボトルの一種を使うことが、取引秩序に影響を及ぼすに足りるのか、を説明できない」とし、原告の主張を退けた。

    以上の裁判所の判断から見れば、立体商標又は意匠で商品の外観を保護する場合と比べると、著作権又は公平交易法で商品の外観を保護しようとする場合は、訴訟で苦戦を強いられる可能性がある。著作権に保護される著作物になるには、最低限の創意のひらめきが求められるものの、通常の美容液が入るボトルのような実用品の場合、知的財産及び商事裁判所は比較的に厳格な基準を採用しているようである。審理の迅速さが知的財産及び商事裁判所の特徴である以上、著作権法又は公平交易法を通して商品の外観を保護しようとする場合、その外観のデザインに著作物性があるかを徹底的に検討するほか、必要に応じて、その商品の知名度又は識別力の度合いを示すための市場調査報告書を用意するほうがよいと思われる。

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