バイオテクノロジー関連特許出願は、一般的な特許出願と同様に、明細書、特許請求の範囲と必要な図面の提出のほか、(1)ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に係る発明であるために配列表の提出を必要とする発明であるか、(2)実施可能要件を満たすために寄託を必要とする発明であるか、に注意する必要がある。台湾知的財産局(TIPO)が近頃発表した上述の点に関する規定は以下のとおりである。
(1) 2022年8月1日よりWIPO標準ST.26に準拠した配列表の提出義務付け開始
バイオテクノロジー関連特許出願の場合、明細書におけるバイオ関連の発明の開示には、その発明に関するヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に言及しているものが多くなっている。
発明に係る配列情報の国際間のデータ交換及び知財局による必要な先願検索の利便性の向上のため、出願においてヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を明細書等に含む場合には、世界知的所有権機関(WIPO)標準に準拠した配列表の提出が必要となる。
WIPOは加盟国に対し、今年(2022年)7月1日より、塩基配列又はアミノ酸配列を含む国際出願につき、新たなWIPO標準ST.26に準拠した配列表を提出するよう規定した。このような国際的な流れを受けて、台湾知的財産局(TIPO)も、2022年8月1日より、WIPO標準ST.26に準拠したXMLファイルによる配列表を提出するよう規定した。外国人出願人は原文(例えば、日本語)にて特許出願を行って出願日を取得し、後日、中国語による明細書を補完する際、補完する中国語明細書においても、WIPO標準ST.26の配列表の規定にそった中国語訳文の提出が必要となる。また、2022年8月1日以降に出願された分割出願については、その基礎となる原出願の出願日が7月31日以前であって、旧配列表(ST.25)にて出願されている場合には、当該分割出願は、旧配列表に基づいて出願することも可能である。

(2) 寄託証明において「寄託の事実」と「生存の事実」の提示を必須要件として規定
専利法27条によると、生物材料または生物材料を利用する特許出願では、出願人は、当該生物材料の国内寄託機構での寄託を完了し、国内寄託機関が発行する寄託証明書類を提出しなければならないと規定している(いわゆる、国内寄託)。台湾以外での寄託については、台湾はブダペスト条約の加盟国ではないため、ブダペスト条約に基づく国際寄託機関への寄託効力は一般的には認められていないが、特定の条件―寄託効力の相互承認に関する協定が締結されている国(現時点では日本、韓国、英国)が指定する「当該国国内寄託機関」が発行した証明を提出することができれば、台湾にて寄託することが免除され、国外寄託にて台湾寄託に代えることが可能となる。出願人が、台湾での出願日から4ヶ月(或いは、最も早い優先日から16ヶ月以内)の法定期間内に、これ等の国の機関が発行する寄託証明書類を提出したならば、国外での寄託をもって、台湾国内の寄託に代えることができる。
寄託機関(特に国外の機関)の証明書類が多様であることに鑑み、TIPOは、今回、寄託機関の証明書類の要件として、生物材料の「寄託の事実」及び「生存の事実」の証明を必須要件として規定した。寄託証明書類が、ブダペスト条約締約国の承認する国際寄託機構によるものである場合、原則的に当該要件を満たすものとされるが、「生存の事実」を証明し得ない場合は、期限内に生存証明を再提出しなければならず、提出がない場合は寄託していないものと見なされることとなる。
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