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「ボルト」と「ピン」は均等物か

    実務において、知的財産及び商事裁判所(以下、‟知財裁”)第一審の技術審査官がした専利侵害認定を、知財裁第二審が覆すことはあまり見られない。そして、最高裁判所(以下、‟最高裁”)が第二審の専利侵害認定を覆すこともあまりない。

    しかし、最高裁が今年4月に公開した判決(110年度台上字第1791号)においては、この2つの状況が両方とも見られた。以下にその詳細を紹介したい。

    係争専利はステージカーの車体に大型LEDディスプレイを設置することに係るものであり、メインディスプレイと両側ディスプレイの上端と下端にそれぞれ上部バーと下部バーが固着され、上部バーと下部バーの縁部に同一軸線上に整列する互いに対応可能な一対の第1軸筒と第2軸筒を含む蝶番が設けられ、ピンを軸筒同士の間に貫通させ、両側のディスプレイをメインディスプレイのそばに継ぎ合わせて固定し大型ディスプレイを形成するものである。

    第一審の台南地方裁判所(以下、‟地裁”)における審理の際、地裁は知財裁の技術審査官に現場検証と権利侵害分析報告書の作成を依頼した。地裁はイ号製品の文言侵害を認め、その中で特許請求項の『ピン(插銷)』という要件について、イ号製品の対応物(ボルト)を『ボルトピン(螺栓插銷)』であると認定した。

    知財裁第二審に控訴された後、知財裁は原判決を破棄し、特許侵害を構成しないと認定した。その中で、その他の構成要件にも違いがあるとした他、イ号製品に用いられているボルトに関し、明細書に基づくと係争専利の効果は「公演前や公演後に両側ディスプレイとメインディスプレイの間のピンを抜くことで、容易に両側ディスプレイを取り外すことができ、搬送と保管に便利である」ということにあるとした。そして、係争専利は「ピン」をパイプの口に貫通させ、組み立てと取り外しを容易にする効果と結果を達成し、イ号製品は「ボルト」で軸筒の筒口を嵌挿し、堅固に連結して抜けにくくする効果と結果を達成することから、両者は均等でないとした。

    最高裁に上告された後、最高裁は本件を破棄差戻しとした。

    その中で知財裁の「ボルト」と「ピン」が非均等であると認定したことについて、係争専利の請求項の「…それぞれ1つの“ピン”で軸筒同士のそれぞれの筒口内を貫通させ、両側ディスプレイをメインディスプレイのそばに“接合固定”する…」という文言に基づけば、ボルトにも固定具の性質があることから、“ボルト”が「一般的な専門知識と職業経験により置換可能性や置換容易性がある代替技術ではなく、実質的に同一ではない」と言えるのかについて疑義が無いわけではないと認めた。

    本件が差し戻された後、知財裁が均等論の疑義をどのように認定するのかは、注目に値する。

    また、知財裁第二審の判決でも触れられていたが、係争専利の明細書(実施例)及び図面では、みな「 ピン(插銷)」という用語がそのまま用いられ、その他の連結手段については触れられていなかった。この点も実務で明細書を作成する際には注意すべきであろう。

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