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新規事項を追加する補正-明細書に言及のみした先行特許文献における技術事項を発明の構成要素とした請求項への記載

    専利(特許、実用新案及び意匠を含む。本文では、「特許」とする)の審査過程では、出願案と引例との技術の差別化、又は、特許請求の範囲の万全な保護等の理由により、特許請求の範囲の補正が一般的に行われているが、台湾の専利法は、「補正は、誤訳の訂正を除き、出願時に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面の開示の範囲を超えてはならない」と規定しており、また、違反した場合は、拒絶をすべき旨の査定をしなければならないことも明文化している。

    最近の拒絶をすべきとの処分の取り消しを求める行政訴訟において、審査の過程にて、明細書において先行技術の文献番号のみを記載していた該先行技術の内容を、特許請求の範囲に必要な技術的特徴として導入する補正を行い、当該補正の内容は、明細書の記載段落[0008]、[0117]に記載された先行技術に基づき更に原告が提示した公知論文における定義を参酌すれば導かれるものであるため、新規事項の追加には該当しない、と主張した係争出願案に対し、台湾知的財産局は、該補正が、出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面の開示の範囲を超えるものであるとし、拒絶査定をした。しかし、原告はそれを不服とし、訴願を提起したが棄却されたため、行政訴訟を提起した。

    これに対し、知的財産及び商事裁判所は、専利審査基準が、次の内容を明記しているとの認識を示した。

    「先行技術の文献を引用するときは、該文献に記載された内容が、実施可能要件の判断に影響するか否かを考慮すべきであり、当業者が該文献の内容を参考にしないと、特許出願に係る発明を理解することができず、かつそれに基づいて実施できない場合、明細書に該文献の内容を詳細に記載する必要があり、単に文献の名称を引用するのみであってはならない」、

    「その発明を実施可能なものとするため、又は出願時の明細書の内容で開示が不明確又は不十分という不備を救済するために、先行技術の内容を補足追加することは認められない。例外として、…このような補正は先行技術にのみに関連し、発明自体に関連するものではない場合、出願前の公然知られた先行技術を明細書及び図面に追加することは認められる」。

    また、知的財産及び商事裁判所は、係争出願の明細書段落[0008]は、該出願は先行技術の課題や不足を解決するものであることの理解に資するために、既知の先行技術の文献番号を提示したものに過ぎないが、当該補正は、特許請求の範囲または図面において明確性を欠いたもの、または十分に開示されていないものを、特許請求の範囲の技術的特徴として追加しているため、先行技術の内容の追加ではなく発明内容の補足であり、出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面の範囲を超えるものであるとの認識を示した。そして、同明細書段落[0117]でも当該補正の内容を明確に記載しておらず、直接的かつ一義的にそれを把握することができず、当業者が、出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項から、疑義なく知り得ないことから、新規事項追加と判断すべきとし、原告の訴えを棄却した。

    以上から、審査の過程において、明細書に文献番号のみが記載された先行技術文献の内容を、必要な技術的特徴として特許請求の範囲に導入するような補正は、出願時の明細書、特許出願の範囲又は図面に開示された内容を超えるものとみなされ、たとえ該補正内容が、先行文献を参考にすれば導かれるものであったとしても、出願時の明細書、特許出願の範囲又は図面に明確に記載され、かつ、直接的かつ一義的に知り得るものでなければ「認められない補正(追加)」と見なされ、認可されない可能性があることがわかる。よって、特許出願において、明細書を作成する際には、出願する発明の技術をより包括的に保護すべく、最良の実施形態を慎重に設計し、明確かつ十分に開示するほか、先行技術の説明、または公知技術につき、どの程度開示すべきかについても慎重に検討する必要がある。

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