2020年に改訂された「意匠(設計専利)実体審査基準」(この記事を参照)に合わせ、台湾知的財産局(以下、「TIPO」という。)は、2021年5月に「意匠登録出願の説明書及び図面作成の手引き(中国語:『設計專利之説明書及圖式製作須知』)」を全面的に更新した。
この度更新された内容は、主に下記の通りである。
1. 說明書をどのように図面に合わせて記載すべきであるかにつき、出願人の理解に資するよう、「説明書の記載」という項目を新設。
(1) 意匠に係る物品の名称
① 原則的にはTIPOが公告した「国際工業設計分類(国際意匠分類)」の第3段階の類別に列記された物品の名称の中から択一指定するか、又は一般的に公知若しくは業界で慣用されている名称を指定するものとする。
② あいまいで不特定又は用途不明な記載は避け、贅言若しくは無関係な説明を入れてはならない。
(2) 物品の用途
当該意匠を施す物品の使用又は機能等の補足説明となる記述であり、その意匠を施す若しくは適用する物品が、意匠に係る物品の名称又は図面にはっきりと表現されているのであれば、省略することができる。
(3) 意匠の説明
① 当該意匠の形状・模様・色彩等といった意匠の外観や、図面の関連事項の補足説明となるものである。なお、意匠の外観が図面にはっきりと表現されているのであれば、意匠の説明を省略することができる。
② 専利法施行細則第51条第3項後段に列記された図面の関連事項に該当するときは、図面に開示の設計内容の解釈に役立つよう、この欄に記載すべきである。
③ 専利法施行細則第51条第4項に列記された状況に該当するとき、必要であればこの欄において補足説明をすることができる。
※ 専利法施行細則第51条
(第1項) 意匠に係る物品の名称は、それを施す物品を明確に指定しなければならず、無関係の文字を冠してはならない。
(第2項) 物品の用途は、設計を施す物品の使用、機能等の補足説明となる記述を指す。
(第3項) 意匠の説明は、設計の形状、模様、色彩又はそれらの組合せ等の補足説明となる記述を指す。次に掲げる各号の1に該当する場合は、明記しなければならない。
1. 図面に開示の内容に意匠登録を受けようとしない部分が含まれるとき。
2. 適用する物品のコンピュータグラフィック及びグラフィカルユーザインタフェースのデザインの外観が変化するときは、変化する順序を明記しなければならない。
3. 各図間が同一、対称、又はその他の事情により省略するとき。
(第4項)次に掲げる各号の1に該当する場合、必要であれば意匠の説明欄で簡略的に釈明することができる。
1. 材料の特性、機能の調整、又は使用状態の変化により、デザインの外観に変化が生じるとき。
2. 補足図又は参考図が有るとき。
3. 組物の意匠登録出願をする場合、その各構成物品の名称。
2.「画像デザイン」に関する記載説明及び事例を全面的に改訂
画像デザインが適用される「物品」は、「スクリーン」・「ディスプレイ」・「表示パネル」又はその他の表示装置の実体物品に加えて、「コンピュータプログラム製品」等の実体的形状を持たないアプリケーション又はソフトウェアであってもよい。
1. 説明書
(1) 意匠に係る物品の名称
以下に挙げる画像デザインの意匠に係る物品の名称の記載方法
① 物品が「コンピュータプログラム製品」等の実体的形状を持たないアプリケーション又はソフトウェアである場合、例えば「コンピュータプログラム製品の画像(中国語:電腦程式産品之圖像)」や「ソフトウェアのグラフィカルユーザインタフェース(中国語:軟體之圖形化使用者介面)」とすることができる。
② 「スクリーン」・「携帯電話」・「洗濯機」等の特定の商品に適用することを指定したい場合、例えば「スクリーンの画像(中国語:螢幕之圖像)」・「携帯電話の画像(中国語:手機之圖像)」・「洗濯機の画像(中国語:洗衣機之圖像)」とすることができる。
(2)物品の用途
当該画像デザインが特定の物品分野に適用されるもので、補足説明が必要であるときは、「物品の用途」欄に当該画像デザインが適用される物品の用途を明記することができる。
(3)意匠の説明
外観が変化する画像デザインを表示するために、図面において複数の画面を開示する場合、「意匠の説明」欄でそれぞれの画面の変化する順序又は関係を釈明しなければならない。
2. 図面
(1) 画像デザインを適用する物品が実体的形状を持たない「コンピュータプログラム製品」であるとき、図面には当該コンピュータグラフィックス(CG)又はグラフィカルユーザインタフェース(GUI)そのものが記載された「正面図」又は「平面図」のみを開示すればよく、実線や破線でスクリーン、ディスプレイ又はその他の適用する実体物品を描く必要は無い。

(2) 画像デザインが「ディスプレイ」・「携帯電話」・「洗濯機」等の特定の商品に適用されることを指定したい場合、部分意匠の「意匠登録を受けようとしない部分」の表現方法を参照して、適用する物品を描かなければならない。

(3) 画像が、3D投影・VR画像等で作られた三次元表示の特性を有する立体形状の画像デザイン(下左図)であるとき、又は物品の特殊な形態に合わせるもの(下右図)であるときは、斜視図若しくはその他の図面で表現することができる。

(4) 外観が変化する画像デザインであるときは、複数の図面でその変化の状況を表現しなければならない。また、図面のカバーページに於ける代表図を2つ以上の図面にして、そのカギとなる変化の過程を表現することができる。
3. 「空間デザイン」(建築物と内装を含む)に関する記載説明及び事例の項目を新設。
1. 説明書
(1)建築デザイン又は内装デザインの意匠登録出願をする場合、意匠に係る物品の名称は、例えば建築物・橋梁・キッチン・寝室のように、そのデザインを施す物品を直接指定しなければならない。
(2)部分意匠である場合、意匠に係る物品の名称は、例えばキッチン又はキッチンの一部・寝室又は寝室の一部のように、当該物品を直接記載するか、若しくは物品の一部であることを記載することができる。
2. 図面
(1)建築デザインと内装デザインは空間の立体感を備える創作であり、出願人は立体的な外観を具体的に描き出して、全体的な視覚効果を表現する必要がある為、図面には斜視図を含まなければならない。
(2)内装デザインが求める創作のポイントは、内部空間の形態にあるため、一部の壁面若しくは断面図により内部空間の特徴を表現する形で省略して描いたり、又は空間の内部に観察する視点を設定して、「内部視点」からの正投影図法により開示したりすることができる。
(3)「内部視点」から表現する正投影図では、各図の図名をそれぞれ「内部視点からの正面図」・「内部視点からの背面図」等のように表示して、一般的な視点からの六面図の表示と混同しないようにしなければならない。

3. 建築デザインの例
この手引きでは、インク画で表現したものや、コンピュータグラフィックスで表現したもの、並びに外観が変化する建築デザインの例が挙げられている。

4. 内装デザインの例
この手引きでは、多くの例を紹介している。
例1:断面図で表現した内装デザイン

例2:一部の壁面を省略して表現した内装デザイン

例3:内部視点からの投影図で表現した内装デザイン

TIPOが今回出版制作した手引きは計78ページにも及び、明確な解説と十分な図例により、出願人が意匠登録出願をよりスムーズにできるよう、規定に沿った説明書と図面の作成を助けるものとなっている。