産業界では、新商品の研究開発時に、同じ設計コンセプトの近似のデザインを複数作成したり、商品の販売後に、消費者の反応や販売計画の調整により、現有のデザインを一部改変した類似商品を作り出したりすることがよく見られる。
専利の制度を市場の需要により近づけるため、旧専利法では意匠登録されたデザインを踏襲した同一人による近似のデザインについて、連合意匠を出願することができると規定していた。一方、現行専利法では、同一人による2つ以上の近似のデザインについて、意匠登録とその関連意匠を出願することができると規定されており、十分に専利権者の権益が守られている。
登録意匠の侵害有無を判断する際には、被疑侵害品と係争意匠が同一又は近似であるかを見極めることになる。旧専利法で規定されていた連合意匠は、同一人による近似のデザインを保護すると共に、親意匠の権利範囲の確認にも用い得ることから、連合意匠は親意匠の侵害有無判断において非常に重要性が高いものであると言える。
先般、ある登録意匠侵害訴訟で、知的財産裁判所が係争意匠の近似範囲を確認する際に連合意匠を利用し、被疑侵害品と係争意匠の相違について心証を開示するということがあった。その内容は、次のようなものである。
- 「飲料容器」の登録意匠侵害訴訟において、専利権者は被疑侵害者が販売した商品が自らの専利権を侵害していると主張し、被疑侵害者はその商品(被疑侵害品)が係争意匠の権利範囲に含まれていないと主張した。
- 係争意匠(親出願)には連合意匠(子出願)があり、係争意匠に開示されていた設計は、円筒状の本体及び前記本体に組み合わされる蓋体を含み、前記本体内には収容スペースが設けられ、上端付近の外側周縁の位置に内側にくびれた頸部が形成され、下端に外側に突出したフランジが設けられている。前記蓋体は、上部材と下部材を含み、その外側周縁に嵌合部が設けられ、前記本体の上端に組み込まれている。前記嵌合部は、前記上部材と下部材とを相互に固定することができ、かつ前記嵌合部は複数の半円形の環状体積層ユニットとなっている(係争意匠の「創作の説明」欄参照)。
係争意匠とその連合意匠の相違は、本体(ボトル体)の長さが異なることのみにある(下図参照)。係争意匠の権利範囲を確定する際には、当該連合意匠の内容を参酌することができる。即ち、前記連合意匠に開示されている内容(やや細長いボトル体)も、係争意匠の権利範囲に含まれると言える。

- 被疑侵害品は「保温カップ」商品であり、係争意匠の液体を収容するために利用する「飲料容器」と物品の機能・用途が同一であるため、両者の物品は同一であると判断される。外観の同一又は近似と判断される部分について、知的財産裁判所は、全体的に観察比較した後に、「同一特徴」と「差異特徴」を次のように示した
(1)「同一特徴」

「同一特徴の比較図」

(2)「差異特徴」

「差異特徴の比較図」

- 知的財産裁判所は、上記3.の内容を踏まえて、下記のように認定した。
「両者の差異特徴は、ボトル体の長さの比率を修飾したものに過ぎず、その細長い全体比率も係争意匠の連合意匠に開示されており、被疑侵害品と係争意匠の連合意匠は、ほぼ同一な全体外観を呈している。
さらに、“a8の被疑侵害品の上部材頂面部に装飾(円形装飾)が施されていない”という差異については、部分的で細微なものに過ぎず、全体的な視覚印象に影響を及ぼすほどではない。
連合意匠により係争意匠の近似範囲を確認することができ、被疑侵害品が係争意匠の連合意匠と外観がほぼ同じで、いずれも細長い全体比率を呈していることから、被疑侵害品と係争意匠の全体的な外観は近似であると判断する。」
上記の判決から、連合意匠の主な機能が親意匠の近似範囲を確認することにあり、係争意匠の権利範囲を確定する際に、当該連合意匠の内容を参酌できることが分かる。しかし、旧制度である連合意匠の専利権は、親意匠の権利に従属するものであり、単独でその権利や近似範囲を主張することができない。
2013年に台湾専利法が改正施行された際、近似のデザインを包括的に保護するため、連合意匠制度が廃止され、関連意匠制度が新設されている。同一人による近似のデザインについては、この関連意匠登録を出願することにより保護を受けられるようになった。そして、関連意匠は連合意匠と異なり単独で権利や近似範囲を主張できることから、専利権による保護がより確固たるものになったと言える。
今後もし新たな意匠登録を検討しているのであれば、関連意匠を利用して近似のデザインについても出願することで、より強固な権利を取得できるようになるだろう。
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