統計資料によると、2020年10月までの世界のインターネット利用者数は、46億にも達しており、一人当たりの1日平均使用時間は6時間55分に及んでいる。人の生活はすでにインターネットと密接に結びついており、事業者がインターネットを利用して情報を伝え、サービスを提供することは、普遍的になってきている。しかしながら、インターネットの繋がりやすさという特徴を利用して、事業者が自社のサイトやサービスをより一層充実させるために、他人のサイトに掲載されている情報や内容にリンクし、利用することも見られており、この行為が公正な競争秩序に悖ることにならないのかと問う議論も現れている。
台湾において、求人データバンクの有料情報や、不動産物件の賃貸販売情報が他人に複製された由で、台湾の公平交易法の主務官庁である公平交易委員会に申告された事例があった。それらの事例が、公平交易法25条違反の一つの態様である「他人の努力成果を搾取する」ことに該当するかどうかにつき、台湾実務では、他人が相当な努力を注いで作ったサイトの内容を複製し、あたかも自分のサイト・データバンクのもののように使う行為は上記態様に該当するというのが、一般的に共通した認識である。
しかしながら、インターネット技術の進歩につれて、ウェブブラウザの機能を自社のカスタマイズしたデータバンクに統合し、自社のデータバンクでの検索に他人(第三者)のサイトの内容をも表示し、顧客に提供している業者もいる。このような形式は、他人のサイトの内容を直接複製して自分のデータバンクの内容として取り入れているわけではないものの、ユーザーの利用に資するために他人のサイトの内容を自分のデータバンクにおいて表示することになり、最終的な結果は同じといえるだろう。
この例として、米系企業ブルームバーグ社がハイパーリンクという形でユーザーにビジネスニュースを提供した事例がまさに参考に値する。ある台湾のマスコミ業者が公平交易委員会に、下記の通りブルームバーグ社のことを申告した。ブルームバーグ社の「ブルームバーグターミナル」という商品には、ウェブブラウザのようなニュース検索機能が設けられており、申告者によると、リンクに類似する機能を通して、ユーザーが検索機能を使い、その検索結果のリストにあるリンクをクリックすれば、第三者、または申告者の作ったニュースの内容でも、「ブルームバーグターミナル」のユーザインタフェースにおいて、そのまま閲覧できる仕組みとなっている。このため、ブルームバーグターミナルのユーザーに、申告者によるニュースがブルームバーグ社によるものであるとミスリードされ、申告者自身の取引チャンス及び広告収入が奪われているというわけである。
これに対し、公平交易委員会は、ブルームバーグ社のやり方に問題がないとはいえないが、公平交易法25条に違反するまでには至らないとの判断を下した。その理由として、ブルームバーグ社の当該検索機能に表示されている他局のニュース内容はそもそも無料で公開されているものばかりであり、ユーザーが自分で一般的なウェブブラウザで検索したとしてもこれらのサイトにリンクすることができるので、他人が提供するコンテンツに接続して自分の商品のユーザーインタフェースでそのまま提供する行為は、申告者側の有料内容の売り上げに影響はしないはずであるとの見解を示した。
公平交易委員会は、さらに、ブルームバーグ社のユーザーは主に市場動向情報を獲得するために(同社の検索インターフェースを)利用するのであって、台湾現地の本件申告者の無料情報を閲覧するために、わざわざ有料のブルームバーグターミナルの契約をするはずがないため、ブルームバーグ社の行為は、フリーライドとまでには該当しないと判断した。また、申告者が自身の売り上げにどのような損害をどの程度受けてきたのかを具体的に証明することができなかったため、ブルームバーグ社の行為は公正競争に違反しないと判断した。
上記からわかるように、他人のサイトに接続して、他人の作った内容を“かき集め”て自分の商品のインタフェースで提供するという利用は、他人のサイトやデータバンクの資料の「取り出し」が行われていない。このため、前記の直接他人のサイト・データバンクの情報を複製する態様と比べると、ユーザーが必ずしもその出所を混同誤認してしまうというわけではなく、また、必然的に他人のサイト・データバンクを閲覧する機会を減らすというものでもないことがわかる。よって、業者のこのような利用方式が不公正競争に該当するかどうかについては、やはりリンクされたウェブページの性質、表示の仕方、両社が競争関係があるかどうか、取引秩序に影響を及ぼすかどうか等により、総合的に判断しなければならないであろう。
-----------------------------------------------------------------------
本ウェブサイトのご利用に当たって、各コンテンツは具体的事項に対する法的アドバイスの提供を目的としたものではありませんことをご了承下さい。