最高裁判所は、法律問題のみを扱い、事実問題には原則として触れないため、専利権侵害の事実認定に対する過去の判決は極めて限らたものとなっているが、実用新案M425892号「不整地のボーリング孔に対する杭打機」(以下、係争専利と称する)の専利権侵害訴訟において、知的財産裁判所が第二審(以下、原審と称する)にて、第一審の専利権侵害には該当しないとの判決を維持したことに対し、最高裁判所は、2020年12月9日、109(2020)年台上字第2373号判決にて、原審の判決を破棄し、知的財産裁判所へ差し戻した。
知的財産裁判所による原審の判決では、写真検証により、係争製品「ニューマチックドリル」には、「放射状ドリルビット」と「直立ドリルパイプ」の二種が含まれることと、「ドリルビットはドリルパイプに固定されている」ことが認定され、係争専利と被告の係争製品の対比において、係争専利の「直立パイプの下段の下端と空圧ドリルとの連結部に設けられた流体出口」との構成要件につき、係争製品の流体出口は空圧ドリルの端部に設けられていることから、二者は実質的に相違し、係争製品は、係争専利権の侵害には該当しないと認定された。
これに対し、最高裁判所は、以下の2点に基づき、「原判決を破棄し、知的財産裁判所に差し戻す。」との判決を言い渡した。
一、民事訴訟法によると、法的な自認の取り消しがない限り、裁判所は自認の事実に反する認定をしてはならない。原審の上述の判決において、知的財産裁判所は、係争製品の「ニューマチックドリル」は、「放射状ドリルビットと直立ドリルパイプからなり、ドリルビットはドリルパイプに固定されている」と認定しているが、これは、原審において、被告が書面上にて自己陳述した係争製品の特徴とは相反するものであり、原審の判決ではこの点が考慮されていない。
二、「ニューマチックドリルの連結部における流動出口の存在」は、係争製品が係争特許の請求項1の文言侵害または均等侵害に該当するか否かの判断における重要なポイントであるが、原告による「原審の写真検証における連結部の写真が鮮明でなはないため再調査が必要である」との請求に対し、「再調査の必要なし」との原告に不利な判断を下したことは、不当であると考えられる。
知的財産裁判所に差し戻された後の審理においては、以上の2つの理由がポイントとして審理される。この審理では、被告の係争製品に対する事実陳述が、裁判所の専利権侵害の最終的な認定を左右し得るかが特に注目される。
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