2018年第3期のニュースレター「医薬品の専利権存続期間延長における臨床試験期間の認定」にて、最高裁判所が、試験終了日を最終の患者に対する試験が終了する日とした認定方法が不当であるとし、原審(知的財産裁判所)に差し戻した判決(2017(106)年度台上字第1904号)における、専利権存続期間延長の期間認定に対する見解についてお知らせした。最高裁判所の同判決は、私人間の民事訴訟の判決であり、知的財産局への拘束力はないものであった。本文では、この論争のその後の展開、特に行政機関とその他の専利権存続期間の延長出願に係る案件につき、以下に総括する。
知的財産裁判所は、今年(2020年)6月30日、2件の専利権存続期間の延長登録出願に関する行政訴訟案件(2019(108)年度行専訴字第88号行政判決、及び2020(109)年度行專訴字第5号行政判決)に判決を下した。この二つの行政訴訟は、何れも、専利権者と知的財産局の専利権存続期間の延長日数の計算方法に対する異なる見解、特に「国外における臨床試験期間に対する計算方法」が主な争点であり、知的財産局が認定した専利権存続期間の延長日数に不服があるとして、専利権者により提起されたものである。
知的財産局による専利権存続期間延長の「国外における臨床試験期間」の認定は、実務上、現行の「専利権期間延長許可規則」(中国語:專利權期間延長核定辦法。以下、延長許可規則と称する)及び「専利審査基準」の専利権存続期間延長の規定に基づいたものとなっている。延長許可規則の第4条には、医薬品について専利権存続期間延長において出願が可能な延長期間は「国内外における臨床試験期間」を含むと規定されている。また、「国外における臨床試験の期間」に係る専利権存続期間延長の出願に対し、現行の専利審査基準では、専利権存続期間延長に対し、次のように更に明確に規定されている。
「国外における臨床試験期間により専利権存続期間の延長を出願するものは、臨床試験計画の名称、計画番号、試験薬品、試験段階等、国外における臨床試験計画の要点を説明しなければならず、国外における臨床試験の開始日と終了日は、医薬品規制調和国際会議(ICH)が規定する臨床試験報告書に定義された試験開始日と試験終了日に合致しなければならない。」
つまり、知的財産局は、現時点では依然として臨床試験報告書に記載された「試験終了日」を臨床試験期間の「終了日」としている。しかしながら、知的財産裁判所は、前述の二件の行政訴訟において、前述の最高裁判所の民事判決における見解を採用し、「国外における臨床試験期間の『終了日』は、臨床試験報告書に定義された、臨床試験完了の日付ではなく、臨床試験報告書の『報告日』とすべきである」との見解を示している。知的財産裁判所の理由は主に以下のとおりである。
| 臨床試験の報告が完了しなければ、主務官庁が発行する医薬品の許可証を取得できず、また、当該臨床試験が完了したとは見なされない。従って、専利権存続期間の延長の目的及び専利法53条の規定のもと、許可証取得に必須である臨床試験の実施及び臨床試験報告の完了は、いずれも専利権者が発明の専利権を実施することができない期間であるため、「国内外における臨床試験期間」とは、臨床試験を実際に行う期間及び臨床試験報告を作成する期間を含むべきである。よって、「国内外における臨床試験期間」は、臨床試験の開始日から報告日までとするべきであり、すなわち、国外における臨床試験期間の「終了日」は、試験報告書の「報告日」とすべきである。 |
現行の専利権存続期間延長に係る審査基準は未だ改定されておらず、行政機関と司法機関の専利権存続期間の延長、特に国外における臨床試験期間の認定における相違は、未だ解決されていないと言える。
専利権存続期間の延長を出願する際には、国外における臨床試験期間が発明の専利権を実施できない期間として認定されるよう、期間の認定方法に留意するとともに、状況によっては行政救済を用い、専利権存続期間延長による専利権の保護期間を最も有利なものとすることを検討されたい。
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