半導体等のハイテク産業は、台湾経済の重要な柱であり、製造業者が研究開発や改良、最先端技術の取得のために、外国のサプライヤーから設備機器を輸入することも多い。そしてまた、これらの外国サプライヤーと技術協定を結び、専利を取得したり、ライセンス契約を結んだりすることもよくある。
このような取引において、台湾企業が外国企業にロイヤルティを支払うことも少なくないが、このロイヤルティについて源泉課税をすべきか、ということが問題となってくる。
外国企業が台湾の源泉所得を得ている場合、台湾所得税法の規定により営利事業所得税が課されることになる。この源泉所得には、專利權・商標権・著作権・営業秘密・ノウハウ等、無形資産の権利金収入も含まれる。
税金納付に関し、外国企業に支払うロイヤルティはみな規定に従って源泉徴収が行われ、台湾企業の代表者が源泉徴収義務者となる。源泉徴収の税率は、その他の優遇措置(後述)が無ければ20%とされ、この規定は中国企業も対象となっている。
最高行政裁判所は、109年度判字第31号判決において、次のように判事している。
この件の上訴人は、当時台湾の真空めっき工程設備会社の社長で、所得税法で規定されている源泉徴収義務者であった。同社は2012年に中国の設備会社に対しロイヤルティとしてNT$251,050,449元を支払ったが、規定されている20%の税率であるNT$50,210,089元を源泉徴収しなかった。そして、被上訴人である財政部南区国税局によって告発され、法に基づき期限までに源泉徴収していない税額を追納し、源泉徴収票を提出するよう命じられた。
上訴人は一貫して、その中国企業に支払った総額NT$380,938,780元(ロイヤルティとされているNT$251,050,449元を含む)すべてが、設備機器を購入したコストであり、権利金の意味合いは含まれていないとして、税金を源泉徴収する理由がないと主張した。そして、主に取引に関わる契約書を証拠として提出した。
税額NT$50,210,089元を源泉徴収すべきか否かについて、最高行政裁判所は高雄高等行政裁判所の認定を維持し、上訴人の主張を退けた。
その主な理由として、同社は2012・2013年度の財務報告書と営利事業所得税の決算申告書において、当該NT$251,050,449元を無形資産(ノウハウ)として申告しており、2013年からは償却していることを挙げている。
また、この金額についても、同社が委託した財務顧問会社2社が発行した資産評価報告書で、取引総額NT$380,938,780元のうち、固定資産である設備の価値がNT$129,888,331元で、無形資産であるノウハウの価値がNT$251,050,449元であると見積もられたことにより定められており、取引契約書の中に技術ライセンス契約の条項が含まれていることも挙げられた。
本件から、台湾企業が外国企業から設備機器を購入する時、もしその支払い内容が実質的に単純な購入コストだけで技術ライセンスに係わりが無いとき、契約書作成時に特に注意しなければならないことがわかる。本件のように、技術ライセンス契約を契約の一部に定めたり、更には財務報告や税金申告等の目的で、外国企業にロイヤルティを支払っていることを承認したりすると、税法の規定で20%の源泉徴収をする必要が生じてくる。
20%の源泉徴収率については、場合によって租税減免の対象となることがある。例えば、台湾は目下32ヵ国と租税協定を結んでおり、各国との協定によりロイヤルティの源泉徴収率を20%以下としていることがある(参照:https://www.mof.gov.tw/Eng/singlehtml/191?cntId=63931)。
また、外国企業による技術提供が、台湾での従業員の役務により報酬を得るものである場合、性質的にはロイヤルティの取得に当たらず、所得税法第25条に規定のサービス報酬に該当して、より好ましい税率に合わせることができるかもしれない。
更に、所得税法第4条第1項第21号では、外国企業に支払うロイヤルティ又は技術サービスの報酬について、一定の条件下で免税とすると規定している。
ただし、これらの租税減免は、いずれも事前申請をして、認可を受ける必要があることに注意すべきである。