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“公開使用”に対する裁判所の見解

    現行専利法の規定により、出願前に“公然実施”されたものは、新規性欠如を構成するとされている。“公然実施”という言葉は、2013年1月1日改正前の旧法では“公開使用”と呼ばれており、改正時の草案によれば、それらは実質的に同一でない。

    最高行政裁判所が2020年初めに下した判決において、再度“公開使用”に当てはまる要件が審理され、特にどのような状態なら秘密保持契約が販売による公開使用を阻却できるかについて確認された。

    以下にて、その概要を紹介する。

  1. 本件の原告(無効審判請求人)が挙げた証拠の一つは、無効審判請求前に第三者が公開販売していたレチクルキャリアのクリーニング・メンテナンスマニュアルである。

    原告は、そのマニュアルにレチクルキャリアの分解・洗浄・再組立に関する内容が含まれており、その図柄にはレチクルキャリアの構造が開示されているため、係争専利の技術が公開されていると主張していた。

    経済部知的財産局と訴願委員会がいずれも当該マニュアルに証拠能力がないと認定したため、原告は続けて行政訴訟を提起した。しかし、知的財産裁判所も当該証拠について、また原処分機関と同じ認定をした。その見解は次のようなものであった。

    (1) 証人の供述によると、該マニュアルが付されたレチクルキャリアを第三者が販売したとき、顧客が注文をする前に双方が共にそれぞれの秘密保持契約にサインをするよう求めていた。このため、取引時に該マニュアルの内容が公開されたことは証明できない。

    (2) 証人は、注文前に潜在顧客に向けて当該レチクルキャリアを展示したとき、秘密保持契約を求めずに該マニュアルの電子版を提供したと証言した。

    しかし、一般的な経験則によれば、第三者に対しては製品の初歩的な紹介をするに止まり、マニュアルの中のレチクルキャリアの分解・洗浄・再組立や、レチクルキャリアの構造といった非常に重要な内容を顧客に提示し、公開したとは考えられない。

  2. この知的財産裁判所の認定に対し、最高行政裁判所は同意をせず、本件を差し戻した。その理由は、下記の通りである。

    (1) すでに公開されたと判断するときは、製造・販売の申出・販売・使用又は上記を目的とする輸入等の行為により技術内容が開示され、該技術を公衆が知り得る状態になったことを指し、公衆が実際に製造・販売の申出・販売・使用又は上記を目的とする輸入をする必要は無い。「公衆」とは不特定多数の人を指す。また、該物体を解体してその構造を知るまでもなく、販売を目的として、その物が不特定者の取引の対象となった段階で公開されたことになる。

    (2) 証人の証言によると、係争マニュアルが添えられた物は特に限定販売されたわけでなく、その購買者は不特定の第三者である。更に、技術マニュアルの目的は顧客(つまり不特定の公衆)がその後に商品をいかにクリーニング・メンテナンスしていくかを理解することにほかならない。

    顧客は見本と技術マニュアルからレチクルキャリアに関連する構造を十分に理解でき、購買者である第三者は購入することで該マニュアルの技術を知ることができ、そこに開示されているレチクルキャリアの構造の技術的特徴を理解する程度に達することは、販売による公開使用の要件を満たす。

    (3) 該マニュアルは、不特定者の取引の対象となっており、該技術は公衆が知り得る状態にあったため、秘密保持契約にサインをしたことは、購買者が外部にその技術を漏洩しないよう制限したに過ぎず、公開使用に当たるかどうかとは係わりがない。

    まとめると、最高行政裁判所の見解は、商品又は添付マニュアルが不特定の第三者に販売され、購買者が商品又はマニュアルの技術内容を知り得る状態にあれば、たとえ購買者が秘密保持契約にサインをしていても公開使用に当たるというものである。

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