台湾の新型専利(実用新案登録)の出願審査は、方式審査のみが行われ、実体審査は行われていない。そして、台湾専利法第109条、及び第43条第2項に準用する第120条によると、新型専利の出願人は、審査の過程で自らの請求又は知的財産局の通知に基づいて、出願時の明細書、実用新案登録請求の範囲、又は図面の開示を超えない範囲内で補正を行うことができる。他方で、新型専利権の登録を許可された後は、訂正のみが認められるようになる。
2019年11月に施行される改正台湾専利法では、技術評価書の請求があったときと、訴訟・無効審判に係属しているときに、訂正を請求できるようになるが、請求の自発性、請求の時期、変更できる内容について、新型専利権の登録を許可された後の訂正は、許可前の補正より厳しく制限されている。このため、新型専利の補正を請求するに当たり、新型専利権の登録が許可される具体的な時期がいつであるかを予測・理解することが必要となる。特に最近、知的財産局は出願審査の過程で公文書の電子送達を多用しているので、出願人としては、新型専利権の登録を許可する行政処分の送達・発効する時期を把握しなければならない。この事柄について、台湾の知的財産裁判所の107年(西暦2018年)度の行専訴字第90号判決は、意義のある見解を示している。
この判決が係る行政訴訟の背景は、知的財産局が2018年5月7日にある新型専利の出願に対し新型専利権の登録を許可する行政処分を作成し、翌5月8日の午前10時19分54秒に電子送達の方式で出願人(原告)に送達したが、原告が同5月8日の午後6時58分31秒に電子送達の方式で補正を請求したというものであった。これについて、原告は、実用新案権の登録が許可されるのは送達日の翌日からであり、送達日からではないと主張し、知的財産局は、その補正の請求が実用新案権の登録が許可された後になされたものであり、受理しないとした。
この判決で、裁判所は下記の趣旨を述べている。
専利法第109条では、専利の主務官庁(知的財産局)が新型専利の出願に対し方式審査を行うに当たり、請求又はその職権により指定期日内に明細書、実用新案登録請求の範囲、又は図面を補正するよう通知することができると規定している。この条文の立法理由が示したとおり、補正の目的は「明細書、実用新案請求の範囲、及び図面を万全にし、審査に資する」ということであるので、補正は知的財産局が新型専利の方式審査を行う期間までに限られ、新型専利権の登録が許可された後に補正を行うことはできない。専利法に「本法における期間の計算において、その初日は算入しない」という規定があるものの、この規定は本件に適用しない。
なお、知的財産局の現行の「専利の電子出願及び電子送達の実施規則」によると、知的財産局は、電子公文書プレートフォームから新型専利権の登録を許可する電子公文書をダウンロードするよう電子メールで被送達者に通知する。そして、被送達者がダウンロードした時点で送達されたものと見なされ、電子公文書が送達されれば行政処分としての効力が生じる。
また、公文書がいつ送達されたかが問題となる場合、電子送達の方法はより精密な判断を可能にし、専利出願案件に費やされる時間、労力、コストを省くことができ、新型専利権の登録がいつ許可されたか、出願がまだ審査中のため補正ができる時期がいつまでかを判断するのに役立つと、裁判所は電子送達に好意的な見方を示している。
デジタル化時代において、時間はより緻密に分割されることとなる。そして、専利出願案件において電子送達が採用されれば、送達時点の認定に当たり、技術的には秒単位まで精密に確定できるようになる。上記の判決に鑑みれば、司法実務の見解もこのような時間に対する精密な分割を後押ししている。そこで、専利出願人とその代理人が新型専利の出願を行う際には、念入りに時間管理をしなければならない。特に新型専利の場合は方式審査のみが行われ迅速に新型専利権が設定登録されるので、補正を請求する場合この点に留意しなければならない。
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