IT技術の発展に伴い、コンピュータソフトウエア関連発明も、権利化が難しいという状況が打破されつつある。近年、ビジネスモデルの革新的な発展により、IT技術の応用領域は人間が行なっているビジネス行為にも広がっており、これにより以前は各国の特許制度において保護対象とされていなかったビジネス方法も、雨後の筍のように特許公報にて見受けられるようになった。
台湾の知的財産局(TIPO)は、2019年4月1日に公式ウェブサイトに「我が国の金融機関の特許ポートフォリオに関する分析及び提言」と題されたレポートを公表した。このレポートの中では、金融工学は2012年から世界的に迅速に発展したが、台湾において金融工学関連の特許出願件数が増えたのは2016年になってからのことであると述べられている。この他、TIPOは、台湾における金融機関による出願においては特許よりも実用新案の方が件数が多いという問題があることを直截に指摘し、更に、金融関連の発明は基本的にソフトウェア関連技術とビジネス方法との組み合わせに属するものであり、これらの属性に基づけば、特許権による保護の方が実用新案権による保護よりも価値があるはずだと明言している。更に注目すべきは、TIPOは先のレポートにおいて、ビジネス関連発明の特許出願に対して、発明の定義、進歩性及び実施可能要件の3つの方面における審査方法に関して案例を挙げて具体的に説明すると共に、ビジネス関連発明の特許取得に資するようにとアドバイスを述べている。TIPOの基本見解と立場を理解するための参考とするべく、以下に抄録する。
自然法則を利用した発明でなければ本国の特許法に規定されている「発明」の定義に適うとは言えない。ビジネス方法は、特許による保護対象から除外される数式解法や人為的取り決めであって自然法則を利用しない発明と通常は見なされる。「自然法則を利用しない」ビジネス方法そのものである場合には、単にコンピューターのハードウェアやソフトウェアの応用或いは実行に関するからといって、特許を受けることができる発明とは見なされない。もしもこれらの組み合わせにより奏する効果が実行効率の向上など単に商業上のものであり技術に関わるものでない場合、やはり特許を受けることができない。言い換えれば、コンピューターソフトウェアに関する技術分野から見て、ビジネス方法と、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせとの特許請求の対象全体がプログラムの動作フローを含むか、或いは技術的困難の克服または関連する課題の解決に至る技術手段であり、且つ技術的な効果を奏するものでなくてはならない。
進歩性の要件から言うと、ビジネス方法そのものの特徴は「技術性がない」と通常は判断されるが、進歩性を判断するに当たっては、当該特徴がその他の技術的な特徴と協働した場合に請求項に係る発明が技術性を有するとするのに利するか否かを考慮すべきであり、もしもそうである場合には、このビジネス方法そのものの特徴も課題を解決するための技術手段の一部分であると認められ得る。即ち、従来技術との対比の下で、このようなビジネス方法そのものの特徴もまた進歩性に対して貢献のある特徴の一つであるとされ得る。
実施可能要件から言うと、通常の知識(従来技術)によるものと作用が異なる技術内容に対して、明細書において抽象的な方式での記載しかなく、特許を請求する技術におけるステップや機能等をどのようにソフトウェアやハードウェアを利用して実施するかの詳細な説明がない場合には、明細書の記載が充分とは言えずこれにより実施することができないとされる可能性が高い。ここで、特にブロックチェーンやAI関連の発明を例に取ると、従来技術を直接に採用するものでない限り、各種パラメーターの設定を詳らかにする必要があり、また発明に係る技術と従来関連技術及びその応用との差異を明確に示し、更には発明に係る技術によりもたらされる効果を証明するデータを提供することが好ましい。
台湾におけるビジネス方法の特許は、すでに若干の案例とプラクティスが蓄積されているが、技術の革新及び発展は日進月歩であり、特許制度及びプラクティスもこれに応じて時宜に適うよう進化、変革していくべきである。これからも産学官が連携して各種技術発展の類型の整理帰納作業を続けると同時に、国際的な案例やプラクティスを参酌・研究することにより、より具体的で明確な依拠基準を作り上げ、もってビジネス関連発明の知的財産保護がより一層成熟したものとなることが望まれる。
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