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改正専利法の無効審判制度に対する調整

 台湾では、2019年11月1日に改正専利法が施行された。

 この度の改正においては、無効審判の審理効率を高めるため、無効審判と訂正の手続について調整が行われ、無効審判請求人と専利権者の攻防両方に制限が加えられた。このことは、今後両者の無効審判における戦略を変えさせていくことになるだろう。

 無効審判時に、審判請求人が理由や証拠の補充提出を乱用することにより、時間の引き延ばしが行われることを避けるため、改正法では審判請求人が理由や証拠を補充できる期間を審判請求後3ヶ月以内に制限した。この期間を過ぎたものは、斟酌されないことになった。

 また、改正法では、無効審判の審理中においては、専利権者が訂正を請求できる期間が、知的財産局が答弁を求めたときと、審判請求人の証拠・理由の補充に対する答弁時、又は訂正を認めない旨の通知に対する応答時に限定された。例外として、無効審判対象の特許が民事・行政訴訟係属中で、訂正する必要がある場合には、無効審判の審理期間内に訂正を請求することができ、その場合は上記の制限を受けない。

 さらに、無効審判の審理期間を短縮するために、改正専利法では審判請求人が知的財産局から専利権者の訂正に対する意見を求められたとき、又は知的財産局が証拠調べ或いは釈明権の行使のために審判請求人に意見を求めたとき、審判請求人は通知を受けてから1ヶ月以内のみ理由又は証拠の補充をすることができるとしている。同様に、知的財産局が専利権者に応答を求めた場合も、同様の考慮により、専利権者は通知を受けてから1ヶ月以内のみ応答をすることができる。上記の場合において、期限前に理由を添付して期間の延長を請求してそれが認められた場合を除き、期限を過ぎてから補充された理由と証拠については、斟酌されないことになった。

 上記の改正専利法の制限(審判請求後3ヶ月以内)に加え、実務において知的財産局が無効審判請求を受理してから専利権者に答弁を求めるまでにかかる時間と専利権者が答弁期限直前で答弁し得ることを考慮すると、審判請求人にとって審判請求後の専利権者による答弁/訂正請求に対して再度理由・証拠を補充する機会はほぼ無いと言える。対する専利権者にとっても、訂正可能時期の制限により、クレームの訂正という防御手段を取るかどうかを、ほぼ最初の答弁時に決定しなければならない。このような制度の調整により、無効審判の双方の攻防は大方一発勝負的な対決になる。

 ただ、改正専利法の枠組みにおける無効審判では上述のように一発勝負的な意味合いが強くなったとはいえ、審判請求人は一事不再理の原則に反しない限り元々何度でも無効審判を請求することができ、更に無効審判の審理中にも面接やヒアリングといった手続で双方による攻防の機会が残されている。また、無効審判の審理時に知的財産局が攻防双方にどれほどの調整余地を与えてくれるかも、双方の戦略に影響を及ぼすことになる。したがって、今後の無効審判請求の実務対応における動向は、こまめに観察していく価値があると言えよう。

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