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生物材料寄託の原状回復申請における“自己の責めに帰すことのできない事由”の認定

  台湾専利法では、生物材料または生物材料を利用する発明専利の出願において、出願人は遅くとも出願日までに当該生物材料を専利主務官庁が指定する国内の寄託機関に寄託し、出願後4ヶ月または最先の優先日から16ヶ月以内に寄託書類を提出しなければならず、期限までに提出しなければ寄託していないものと見なされると明文規定している。

 一方、天災または自己の責めに帰すことのできない事由により法定期間内に手続をすることができなかった場合、出願人はその原因が消滅してから30日以内に書面をもって理由を説明し、原状の回復を申請することができる。

  近頃、法定期間後に国内外の寄託証明書類を提出した案件において、出願人が寄託書類の提出と同時に原状回復の申請を行った。その理由として、出願に係る生物材料が細菌であり、規定により提出すべき寄託数が6本であったところ、行政機関である食品所(寄託機関)から25本提出しなければならないと伝えられたため、完全に想定外の要求であって、出願人が通常の注意で予見できる状況ではなかったことを挙げた。

 これに対し、知的財産局及び訴願委員会は、当出願は寄託証明書類提出可能な法定期間を過ぎており、かつ、自己の責めに帰すことのできない事由にも該当しないとして、生物材料が寄託されていないと見なし、原状回復も受理しないとする処分及び決定を下した。

 出願人はこれを不服として行政訴訟を提起した。知的財産裁判所は、出願人の出願は合理的な作業時間を確保した上でのものであり、食品所の補充要求も現有の法規範に合致していないものであることから、出願人が通常の注意を払って予見し得るものではなかったと認めた。そして、出願人が補足提出した生物材料は培養しなければ得ることができないものであった上、外国から輸入するものであったことを踏まえると、客観的に見ても随時容易に補完できるものでも無かったことなどを理由に、原処分及び決定を破棄した。その後、係争出願は最高行政裁判所に上訴された。

 最高行政裁判所は、“自己の責めに帰すことのできない事由”について、客観的事由に重きを置き、出願人の期待可能性を斟酌すべきである他に、条文の意図するものは、出願人が決定又は行為ができないほどに影響を受けた要素があった場合、即ち法令に例示されている天災に類似する程度の人的原因による事変(戦争やテロ等)があってはじめて該当するとした。そして、もし行政機関やその他の法人の行為が出願人の決定及び選択に影響を及ぼすといった、その他の要素が介入したとき、その介入により出願人が自由に決定及び行為ができなくなった場合に到ってはじめて“自己の責めに帰すことのできない事由”に該当すると認めた。また、食品所が応答書簡に用いていた文字は「建議」であり、強制するものではなかったことに加え、出願人は少なくとも6本について法定期間内に国内外の寄託機関が発行する寄託証明書類を提出すべきであったことは、通常、注意・予見できることであり、或いは期限に遅れないようにすることができたはずであったが、出願人はその6本についてさえも法定期間内に提出していないことから、出願人が国内外の寄託機関発行の寄託証明書類の提出に間に合わなかったことは、明らかに出願人の自己の責に帰すべき事由であると認めた。そして、最終的に原判決を破棄する判決を下した。

 最高行政裁判所の見解から、“自己の責めに帰すことのできない事由”の解釈について、比較的厳格な態度を採ることがわかった。客観的事由を重視する他に、出願人が決定又は行為ができない程度に影響を及ぼす要素が他にあってはじめて該当するというものである。

 この判決は、今後の案件の処理において、特に行政機関が介入する際には、取り扱い上の判断の参考になると言えよう。

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