専利法第29条には、優先権を主張しようとするとき、出願時に、最初に出願した外国出願の出願日と、当該出願がされた国の国名又はWTO加盟国の国名と、最初の出願の出願番号を申し出なければならないと規定されている。そして、最先の優先日から16ヶ月以内に、当該国又はWTO加盟国による出願の受理を証明する書類を提出しなければならない。この規定に違反した場合は、優先権を主張しなかったものとみなされる。
また、専利法施行細則第26条においては、さらに優先権証明書が原本でなければならないと規定されている。出願人が最先の優先日から16ヶ月以内に提出した書類がコピーであれば、専利主務官庁が出願人に期限を設けて優先権証明書の原本を提出するよう通知しなければならない。
ある出願において、出願人は最先の優先日から16ヶ月という期限の前に、最先の国への出願の出願受領書(filing receipt)を台湾特許庁に提出し、優先権証明書の原本は後日提出する旨を説明した。
しかし、台湾特許庁は、この行為は出願人が期限までに優先権証明書を提出したことにはならないと判断し、出願受領書は優先権証明書とみなすことができないとして、優先権主張を認めないという処分を下した。そこで、出願人はこの処分を不服として、行政訴訟を提起するに至った。
知的財産裁判所は、原告(出願人)の言い分を聞き入れ、現行の専利法・専利法施行細則及び専利審査基準は、いずれも優先権証明書の形式的要件を明確に規定していないと認めた。次いで、原告が提出した電子受領書にも、最先の優先権主張を伴う出願の出願日・当該出願がされた国の国名・出願番号が記載されていることから、出願をした日付を確定するために十分なすべての要求は満たしていることを証明できるとした。また、台湾特許庁が過去の審査実務において、出願受領書を優先権証明書とすることを受け入れ、「優先権証明書原本」を後日補完することを認めていたこともあり、明らかにこれらの出願に対して差別待遇があり、平等の原則に反すると認めた。そして、台湾特許庁はこの件について、優先権主張を認める処分を下すべきとした。
台湾特許庁は、この訴訟の判決を踏まえ、審査基準の関連内容を改正し、2018年11月1日から適用している。それには優先権証明書に、発行日・当該国等への出願の出願日及び出願番号・出願日に開示された技術内容(特許明細書と必要な図面)が明記されていなければならないと加えられている。また、この他に当該国又はWTO加盟国の専利主務官庁が発行した出願証明書・電子受領書・受理通知・特許証書・特許査定証明書・特許公報或いは包袋コピー証明等はいずれも優先権証明書には相当しないと規定している。
尚、台湾特許庁は専利法第29条における優先権主張の回復についても、故意によらず専利出願と同時に優先権を主張しなかった場合、又は専利出願と同時に、最初に出願した国への出願の出願日と、当該国の国名又はWTO加盟国の国名を申し出なかった場合に限ると明確に規定している。そして、期限までに優先権証明書を提出しなかった場合は、故意でなかったことを理由に優先権主張の回復を請求することができないとしている。
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