国際的規範に基づき法規を整え、審査実務を万全にするため、経済部知的財産局は各界の意見を採り入れ、比較的コンセンサスが得られた議題について、近々改正の可能性がある事項について方向性をまとめた。
この度の改正の要点には、以下の内容が含まれている。
- パリ条約による優先権に基いて優先権を主張できる期限に関する回復規定の新設:現行の規定では、特許や実用新案のパリ条約による優先権を主張できる期間について、外国で最初に出願した日から12ヶ月(意匠では6ヶ月)以内としている。これに関し、出願人の便宜を図るため、出願人が故意ではなく12ヶ月(意匠では6ヶ月)以内に出願できなかった場合には、優先権を主張できる期間の満了後2ヶ月以内に出願し、かつ一定の費用を納付することで、パリ条約による優先権を主張できる規定を新設する。
- 実体審査請求の回復請求に関する規定の新設:現行では、特許出願は出願後3年以内に実体審査を請求しなければならないと規定されている。この度の改正では、出願人により万全な保護を与えられるように、故意でなければ、3年の期間内に実体審査を請求できなかったとしても、期間が満了してから2ヶ月以内に請求することができるようになる。
- 特許査定後の分割出願の適用及び分割出願可能期間の緩和:台湾の実体審査は初審審査と再審査の2段階に分けられ、現行では特許出願の初審審査における特許査定書送達後30日以内に限り分割出願ができると規定されている(再審査における特許査定後は分割出願が認められていない)。これを、今回の改正では特許のみならず、実用新案・意匠についても適用し、初審審査と再審査の両方において適用でき、査定書送達後30日以内という時期的要件を3ヶ月以内に緩和する。ただし、すでに証書料と第1年次の特許料を納付済みである場合は、分割出願が認められない。
- 意匠権の保護期間の延長:現行の意匠権の保護期間は12年であるが、これを15年に延長する。
- 実用新案の訂正請求に実体審査が適用され、且つ訂正時期も限定されることに:現行法では、実用新案の登録後、権利者はいつでも訂正を請求することができる。しかし、請求された訂正の可否については、方式審査がなされるのみであり、当該実用新案に対し無効審判が係属中である場合のみにおいて、訂正請求に対して実体的な審査がなされる。したがって、実用新案権者が侵害訴訟を提起し、被告側が訴訟において無効の抗弁を主張した後に、実用新案権者が特許庁にクレームの訂正を請求した場合、その訂正は、たとえ訂正後の範囲が出願時の明細書の開示を超えておらず且つ原クレームの範囲より狭くても、方式審査に不合格であることを理由に却下されることがある。改正法案では、実用新案に関して、訂正時期が、(a)無効審判の係属中 (b)技術評価書が請求されてから発送されるまでの間 (c)侵害訴訟の係属中、の3つの段階に絞られる一方、訂正請求に対して一律に実体審査が適用されることになる。
- 無効審判の請求人の書類提出の遅延による法的効果、無効審判の審理期間及び無効審判の被請求人による訂正請求に対する制限の規定明文化:現行法では、審決前に無効審判の請求人が補充した理由補充書や証拠及び無効審判の被請求人が請求した訂正内容や答弁の補充理由は、無効審判の審査段階で斟酌されるべきと規定されている。無効審判の審理期間の遅延を避けるため、この度の改正では、理由補充書や証拠の補充について、「無効審判の請求後3ヶ月以内に行う」、或いは「主務官庁からの通知を受領した後1ヶ月以内に行う」という方向に制限される。また、無効審判の審理期間においては、訴訟係属中である場合を除き、無効審判の被請求人は答弁通知・応答又は答弁補充期間内にのみ訂正を請求することができるという規定が新設される。
- その他の法制度の見直しには、下記の内容が含まれる。
(1)持分の処分と帰属:現行では、専利を受ける権利又は専利権が共有であるとき、他の共有者の同意を得なければその持分を他人に譲渡することができないと規定されている。しかし、共有者の処分行為でないものについては、共有者全員の同意を得る必要はないため、この度の法改正では、専利を受ける権利又は専利権における共有者の持分の処分行為でない移転(例えば相続その他の一般承継)も共有者の同意を得る必要が無く、共有者の持分の放棄、相続人又は承継人がいないときは、他の共有者にその持分の比率に従って分配することが明文化される。
(2)同一の発明についての同日出願の処理:現行では、同一の発明について二以上の出願があるときは、出願人の協議が成立せず、または限定された期間内にいずれかを選んで出願しない場合、いずれも専利を受けることができないと規定されている。しかし、一部の出願において、審査が行なわれる時期に差異があることにより、選択をしないまま専利公告がなされる状況があった。この度の改正では、これらの出願の処理方式について、更に明確に①協議を経ていない若しくは選択していない専利出願が公告されたとき、又は②出願人の協議が成立しない若しくは限定された期間内にいずれかを選んで出願しないまま専利出願が公告されたとき、その専利権は取り消されると規定する。
(3)譲渡によりライセンス関係が破られない:現行では、ライセンスについて専利主務官庁において登録しなければ第三者に対抗することができないとのみ規定されている。この度の改正では、ライセンシーの実施権益を保障するため、ライセンス登録を行った後、特許権の移転がライセンス関係に影響を及ぼさないことが明文化される。
上記の内容については、すでに2017年12月21日及び2018年1月15日に二度の公聴会が開かれ、知的財産局が公聴会の意見をまとめた後、2018年5月17日に専利法の改正草案が公布された。今後は、7月16日以降に改正草案に対する外界の意見を総合した草案を完成させ、行政院に回すと見込まれる。
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