「商標の使用」は、商標登録制度において焦点となる部分である。商標の機能は、消費者に出所が異なる同質の商品又は役務を区別させ、その権益を保護し、市場の公正競争を維持することにある。しかし、商標が実際の取引において長期間使用されていない場合、消費者は当該商標を知る手立てがなく、商標がその識別機能を発揮することが出来ない。これにより、諸国で法律が検討される際に、商標の使用を促すため、大多数の国で商標の使用についての規定が組み込まれている。
台湾商標法第57条第1項第2号では、「商標の登録後、正当な事由なしに継続して3年間使用していない商標について、商標主務官庁は職権又は申請によりその登録を取り消さなければならない。但し、使用権者により使用されているときは、この限りでない。」と定めている。上記の規定から分かるように、事実上の障害又はその他の自己の責めに帰することができない理由を有する場合以外、商標権者は商標登録後3年以内に商標を使用しなければならない。また、一旦商標を使用した後、使用を停止した場合も、その停止期間が3年を超えてはならない。そうでなければ、当該商標は主務官庁の職権や誰かの申請によって登録が取消されるリスクに晒されることになる。尚、このとき商標権者自らが商標を使用していなくても、使用権を権利許諾された他人が商標を使用し、市場に流通させた場合も、同じく商標の機能を果たすことができる。このため、上記規定の但書に、使用権者により使用されているときは商標が取消されない旨が記されている。更に、同条第4項には「取消事由が登録商標の指定商品又は役務の一部にのみ存在するときは、該部分の商品又は役務のみについて、その登録を取り消すことができる。」とも定められており、登録商標の指定商品又は役務の一部について商標を使用していない場合にも、その登録が取り消されるリスクがある。
先般、知的財産裁判所は、商標を使用していない一部の指定商品に対する登録取消の判決を下した(事件番号:知的財産裁判所99行商訴第54号)。本件の概略は以下の通りである。
係争商標登録第954012号「FLORA GLO LUTEIN」は、「漢方薬、西洋薬、医療補助用栄養製剤」の3種を指定商品として2001年8月16日に登録を受けた。原告はこれに対し、商標権者が継続して3年間使用していないとして、知的財産局に不使用取消審判を請求した。知的財産局は審査後、係争商標が「医療補助用栄養製剤」商品に使用された事実があることを認め、請求不成立の審決を下した。原告はこれを不服として、経済部に訴願を提起したが棄却されたため、知的財産裁判所に提訴した。係争商標権者(訴訟参加人)は、不使用取消審判及び訴願時に係争商標を使用したキサントフィル関連の「医療補助用栄養製剤」商品の包装等証拠を提出し、訴訟では「漢方薬、西洋薬」商品に係争商標を使用していないことを認めた。知的財産裁判所は判決で、上記商標法第57条第1項第2号にいう「使用していない」とは、指定した各項商品又は役務について適用されるのであり、換言すれば、指定使用商品又は役務の何れかに係争商標が使用されていなければ、当該指定商品又は役務を取り消されるとの見解を示した。また、商標権者がもしも一部の指定商品について使用証拠を提出できない場合は、商標法第57条第4項の規定により、当該部分の商品における係争商標の登録を取消し、その他については請求不成立の審決を下すものとした。本件で商標権者は、「漢方薬、西洋薬」商品について、係争商標を使用した証拠を提出していない上、それらに係争商標を使用していないことを自認したため、これらの商品においては登録を取消し、使用証拠を提出した「医療補助用栄養製剤」商品のみの登録を存続させるべきとした。
上記判決から分かるように、知的財産裁判所は商標法第57条第1項第2号の「使用していない」という文言に対し、商標権者が提出した使用証拠に基づいて指定商品又は役務の使用事実の有無を個別に判断するべきという見解を示している。商標権者は、使用証拠を提出できなかった一部の指定商品又は役務において商標登録が取消されて権利範囲に影響が及ぶことのないよう、指定したすべての商品又は役務に商標を使用しているかに注意を払い、期日が記されたレシート、商品カタログ、広告等の使用証拠を適切に保存しなければならない。
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