台湾では2010年1月1日に早期審査制度(中国語では“加速審査制度”)が導入されている。下記の3つの事由のいずれかに該当すれば、出願人は早期審査を請求することができる。
(1) 対応外国出願が外国特許庁での実体審査を経て特許査定を受けている。
(2) 対応外国出願が、日本・米国・欧州いずれかの特許庁が発行した拒絶理由通知書及びサーチレポートを受け取っており、未だ特許査定を受けていない。
(3) 商業上の実施のために必要。
そして、規定に沿っていれば、早期審査請求後9ヶ月以内に最初の審査意見が提示されることになっている。また、台湾知的財産局(以下、“知財局”と略称。)の発表によると、本年1月から9月までに早期審査が請求された案件に対して、審査意見を提示するまでの平均期間は、上記事由(1)が70.0日、事由(2)が48.3日、事由(3)が84.3日とのことである。このデータから、この制度が特許出願の審査を早めるのに十分に有効であることがわかる。しかし、事由(1)・(2)に該当することを根拠に早期審査を請求する場合、特許を受けた対応外国出願のクレームや日本・米国・欧州の拒絶理由通知書等を提出しなければならない。この為、出願人は早期審査を請求する際に、審査が順調に進むよう、海外で公開済みや特許査定を受けた外国出願に合わせて、台湾出願の特許請求の範囲を補正する必要が出てくる。ところが、現状では問題が発生する。現行専利法第49条にて、出願日又は優先日から15ヶ月以降は、審査請求時や局通知受領時でなければ明細書や特許請求の範囲等を自発的に補正することができないと定められているのである。もしも既に審査請求済みで、出願日や優先日から15ヶ月を超えており、しかも局通知を受領しているタイミングでなければ、補正をすることができない。つまり、事由(1)又は(2)に基づいて早期審査を請求したとしても、対応外国出願に合わせて補正をすることができないのである。
現行専利法の規定(上記“15ヶ月以降に自発補正ができない”という制限)と、早期審査請求時に補正が必要であるという実務の間に、衝突があるのは事実であり、この件については知財局も認識している。問題を解決する為に、知財局は専利法の改正を試みているが、それでは早急に解決することができない。この為、当面の対処として、ある行政措置を発表した。特許出願が既に審査請求済みで、知財局から審査に取り掛かる旨の通知を受け取っており、しかも出願日(又は優先日)から15ヶ月が経過していながら未だ審査に関する通知を受け取っていない場合、出願人が補正を希望している旨を書面にて連絡すれば、1~2ヶ月の間に審査官を指定し、その審査官が出願人に補正を行うよう電話で指示するというものである。この方法を利用すれば、出願人は早期審査時に必要な補正を行うことができる。
早期審査を利用すれば、確実に審査速度を速めることができる。出願人が特定の案件の早期権利化を望むのであれば、この制度を利用することが効果的であろう。
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