2008年7月1日に設立された知的財産裁判所は、特許侵害訴訟の様相に大きな変化をもたらした。
侵害訴訟は、通常、知的財産裁判所に持ち込まれるようになり、特許侵害訴訟の準備手続きにおいて、双方に係争特許のクレームの解釈について意見書を提出するよう求めることが標準化された。
特許権者により提出される意見書には、正式な侵害鑑定書とは違って、通常、侵害している可能性がある製品の分析や“均等論”の適用についての説明が含まれていない。この点に関して、裁判所は慎重に考慮しなければならない。これは、クレームの解釈において、クレームの範囲があまりにも限定されたため、文言解釈や均等理論を適用したとしても、侵害者に対して権利を主張できなくなる可能性があるためである。
特許侵害事案において、クレームの解釈は重要な意味合いを持つので、特許権者はその次の公判で勝訴できるよう、準備手続きの際に包括的な意見を提示しなければならない。
台湾では、多くの特許が外国対応出願の引例について考慮されないままの状態で特許権を付与されるため、被告は通常、それらの引例を挙げて知的財産局に無効審判を請求している。この為、特許権者は無効審判を請求された際に特許請求の範囲を限定することが必要となることがある。
特許後の訂正手続きでは元の明細書や図面に開示されている範囲を超えたり、特許請求の範囲を実質的に拡大や変更したりしない限り、その訂正は許可される。しかし、審査基準のクレームの範囲“訂正”に関する規定に不明瞭な点やあいまいな点がみられるので、多くの審査官はこの“訂正”の本来の意味をねじ曲げて解釈し、訂正時に非合理的な制限を押し付ける傾向がある。
無効審判の際には、無効審判請求者も被請求者も新たな証拠や意見が提出されなくなるまで意見や反論を述べることができるので、特許権者は最初からクレームの訂正範囲を決定することが望ましい(クレームの用語が当該対応外国出願と異なる場合)。また、その訂正範囲は、従来技術と区別できるだけではなく、侵害者にも対抗できる程度であることが望ましい。
クレームの用語に関し、専利法施行細則には、複数の技術構成を組み合わせた発明について手段機能用語やステップ機能用語により表示してもよいと規定されている。また、その代表的な例が知的財産局公開の侵害鑑定要点に記載されている。しかし、そこにはそれらの用語の使い方について明確に記載されていない。
2008年5月、台湾知的財産局は、特許審査基準にコンピュータ・ソフトウェア関連発明の審査に関する新たな基準を追加した。この新たな基準には、下記の記載がなされている。
「請求項の記載が下記の3つの条件に当てはまるとき、それが手段機能用語又はステップ機能用語であると認定される。
1.“~手段用以…(…のための~手段)”又は“~歩驟用以…(…のための~ステップ)”の用語を用いて技術的特徴が記載されている。
2.“~手段用以…(…のための~手段)”又は“~歩驟用以…(…のための~ステップ)”の用語において特定の機能が記載されている。
3.“~手段用以…(…のための~手段)”又は“~歩驟用以…(…のための~ステップ)”の用語において、当該特定の機能を達成できるすべての構造、材料又は動作が記載されていてはならない。」
注目すべきなのは、クレームを解釈する際に、手段クレームやステップクレームは、発明が属する通常の知識を有する者の見解による明細書における構造、材料又は動作のみが含まれていると解釈されることである。