2011年5月31日、立法院(国会に相当)は「商標法改正草案」を可決した。台湾知的財産局は現在関連する『商標法施行細則』や『審査基準』を制定しており、それらの改定が完了した後、行政院(内閣に相当)により施行日が公告される。今回の改正要点は以下の通りである。
1. 使用行為の態様を明文化
商標の使用行為とは、商標権者が販売目的により各使用行為を、関連消費者にそれが商標であると認識させ得ることであると明定される。
2. 保護対象を拡大
文字、図形、記号、色彩、立体形状の他に、動き(Motion marks)、ホログラム(Hologram marks)等の商標が追加され、商標の態様が多元化される。
3. 期限内に登録料を納付しなかった場合の商標権回復規定を新設
出願人が故意にではなく登録料の納付を怠った場合は、その納付期間満了後6月以内に登録料を倍額追納することができ、その後公報に公告される。但し、この商標権失効期間に第三者が登録出願又は商標権を取得した場合、その復権は認められない。
4. 登録料分納に係る規定を廃止
改正後は登録料を一括納付しなければならない。
5. 商標の併存登録制度
現行の併存登録制度における「同一の商標が同一の商品又は役務に指定されている場合」が除外される他、商標並存登録の同意は、明らかに不適当な状況が存在しないことを前提とすることが新設される。上記規定によると、出願人が引用商標を克服するために併存同意書を提出する場合、TIPOは、商標図案と指定商品・役務が同一か否かを審査する他、別途、併存登録における明らかな不適当状況の有無を審査することとなる。
6. 無効審判又は取消審判請求では、請求前3年間の使用証拠を提出しなければならない旨を新設。
無効審判又は取消審判の実務では、申立人が市場でまだ実際に使用されていない登録商標を根拠として、市場で長期にわたり使用され相当程度の規模を有する登録商標に対し取消を主張することがよく見られる。その結果、当該登録商標が排除され、工商企業の正常な発展に影響を及ぼすことさえある。このようにまだ市場で使用していない商標を根拠に他人の登録商標を排除するという不合理な現象を回避するため、無効審判又は取消審判の根拠商標は登録後3年が経過し、申立時にそれ以前3年の使用証拠又は未使用の正当な事由を証明する証拠を添付しなければならない旨が新設される。商標権者は、前記規定によって、その商標が本当に使用されていることを証明する資料を提出しなければならない。もし、それが単に商標登録を維持するために臨時に製作したものや、それを象徴するような使用証拠であった場合、商品又は役務の出所を示す機能を有する商標とは見なされず、保護の必要性はないとされる。
7. 証明標章の定義を改正及び産地証明標章の定義を新設
地理的標示GI(Geographical Indication)は、出願することにより証明標章又は団体商標として保護されることが明定される。
8. 商標権侵害の関連規定を改正
(1)商標権による排他範囲を明確化
権利侵害行為の態様を明らかにして商標権の排他範囲を明確にする。
(2)権利侵害行為の責任の主観的要件を明確にする
権利侵害行為者の主観による故意の過失が要件となるのは、商標権侵害を排除及び防止を請求するときではなく、損害賠償を請求するときであることが明定される。
(3)「商標権のみなし侵害行為」についての規定の改正
1) 著名商標の保護を万全にするため、実際に著名商標の識別性又は信用が損われるおそれがあることを立証すれば、商標権の侵害と見なされることが明定される。現行商標法の規定では、商標権者は行為者の行為が著名商標の識別性又は信用を損なったという結果が必要であり、著名商標の保護に対し要件が厳しすぎたので、改正法ではこの制限が緩和される。
2) 商標権侵害のおそれがあることを明らかに知りながら、商品又は役務と結合していない標識、タグ、包装容器又は役務に関するものを製造、所持、陳列、販売、輸出又は輸入するとき、商標権侵害行為と見なされる規定が新設される。また、商標権侵害の準備、加工又は補助行為も商標権侵害行為と見なされるべきである。
(4) 職権による押収及び権利侵害貨物の情報の提供等、税関における管理措置に関する規定が新設される。現在、台湾では「税関における専利、商標及び著作権の権益保護に対する対応措置の作業要点」により税関での商標権の保護を執行している。改正商標法に新設される上記規定は、税関での執行に法的根拠を与えるものである。
9. 証明標章権侵害における刑罰規定の追加
証明標章は商標と較べて更に高い公益性を有しており、その権利が侵害されたときに社会公衆が被る損害は商標よりも大きくなる可能性がある。これに鑑み、証明標章権の侵害における刑罰規定が新設された。