商標法第6条によると、商標の使用とは、販売の目的をもって商標を商品、役務又はその関連するものに用い、消費者にそれを商標であると認識させるに足ることを指す。そして、同法第59条第3項では、商標権者がその使用の事実を証明するときは、商標取引上の習慣に沿わなければならないと規定している。
これまでの実務で、知的財産局及び裁判所は、商標権者提出の使用証拠について、その形式を審査したに過ぎなかった。特に、登録商標が標示されている広告が証拠として提出されたときは、概ねそれらの広告が適格な使用証拠であると認められてきた。しかし、昨年11月に裁判所は、ある商標取消審判事件において、商標権者が提出した新聞広告等の使用証拠に対し厳格な審査を行い、当該案件で提出された新聞広告が商標法第6条及び第59条第3項に規定の「販売の目的」及び「商業取引上の習慣に沿う」といった要件を備えないとして、知的財産局がなした処分を取消した。
この事件で知的財産局は、商標権者が提出した販売加盟店募集の新聞広告、商品販売契約、商品DM、商品実物により、係争商標が指定商品に使用されていたと認定することができるとしていた。しかし、その後審判請求者が知的財産裁判所に行政訴訟を提起し、裁判所が原処分を取消す旨の判決をし、知的財産局に商標を取消すよう命じた。その理由として、下記の3点を挙げている。
1. 新聞広告
商標権者が掲載した新聞広告は、配列順が異なるものの当該商標が知的財産局に登録された際の商標公報における係争商標・登録番号・指定商品・会社名を転載した形のものであった。また、商標権者が新聞広告を掲載した目的は加盟店募集に過ぎず、係争商品の販売を目的とするものではなかった。さらに、商標権者が販売を目的として新聞広告を掲載する場合、事前に販売行為の準備をし、或いは事後に実際に販売行為がなされていることで、商業取引上の習慣に沿うと言えるが、本件で商標権者は小売業者と契約を交わした前後に工場に製造委託をすることも無く、商標権者は毎月の出荷量の見積もりや、小売業者への出荷方法や販売量などについても具体的な証拠を提出していない。よって、そのような新聞広告は商標権者が係争商標商品の販売事実を認定するに足らない。
2. 販売契約
商標権者は商品の販売契約を取り交わした後、再度新聞に販売業者を募集する公告を掲載しているが、商標権者は販売業者が係争商標商品を実際に販売した証拠を提出することができず、新聞広告も係争商標商品の販売とは無関係であった。この為、販売契約が商標使用の事実を証明するものと認めることは難しい。
3. 商品DM及び商品実物
商品DMは係争商品が販売された事実を証明することはできず、逆に単なる寄贈品であることを証明することもできる。また、商標権者はその商品実物が取消審判請求前に製造・完成されたものであることも証明していない。
この件で、裁判所は商標使用証拠、特に広告の審査を厳しくする趨勢にあることがわかる。今後、商標権者が広告を使用証拠として使用する場合、上述の商標法の使用要件を満たしているか、注意することが望ましい。
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