台湾の専利制度では、特許と実用新案登録のいずれも装置に対する保護が認められている。特許については20年間の保護を受けることができるが、実体審査に1年半から3年程度の時間を要する。それに対して、実用新案登録は無審査登録制が採用され、保護を受けることができる期間は10年間であるものの、実体審査を経る必要がなく、4ヶ月から6ヶ月ほどで登録を受けることができる。この為、特許と実用新案登録の両方を同日に出願するという戦略を選ぶ人もいる。
2011年12月21日に公布された新専利法第32条によると、同一の出願人が同一の創作について同日に特許と実用新案登録を出願する場合、実用新案登録を受け、且つ存続しているときは、特許査定が下される前に台湾知的財産局が出願人に択一するよう通知し、出願人が特許を選択すれば実用新案は最初から存在していないと見なされる。反対に実用新案登録を選択するときや、特許査定前に実用新案登録が既に失効しているときは、特許を拒絶すべき旨の査定が下されることになる。
新法の規定における利点としては、出願人が同一の創作について同時に特許と実用新案登録を出願し、実用新案登録を有効に維持している状況において、特許を受けることができる旨が確定した際に実用新案登録を放棄するか否かを決定できることがある。反対に欠点としては、実用新案登録が無効審判請求や登録料未納により失効した後、特許出願にも拒絶の査定がなされてしまうという不利な結果を導くことが挙げられる。
また、2009年6月に行われた司法院知的財産法律座談会で、多数の裁判官が、専利侵害訴訟で専利権者の勝訴判決が確定した後に、行政争訟により該専利が取り消されたとき、前述の専利権者が勝訴した判決を取り消すことができるのかという意見を述べた。このことから考えると、もしも特許と実用新案登録の両方を同日に出願する戦略を採用し、先に登録を受けた実用新案により専利侵害訴訟を提起して、勝訴判決が確定した後に特許を選択し、実用新案登録が最初から存在していないものと見なされたとき、上述の実務見解が該専利侵害訴訟の再審事由を構成すると認識されると思われる。そして専利権者が特許を受けるにあたり元の実用新案登録の勝訴確定判決を放棄しなければならなかったり、或いは実用新案登録による勝訴の後に特許を受けることをあきらめなければならなくなったりするというジレンマに陥ることになる。
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