専利侵害訴訟で、侵害者が侵害行為により得た利益に基づいて損害を計算することは、損害賠償実務において重要である。
改正前の専利法第85条第1項第2号では、次のように規定している。
・専利権者が損害賠償を請求するとき、侵害者が侵害行為により得た利益によりその損害を計算することができる。侵害者がそのコスト又は必要経費について挙証できないときは、該物品を販売した全ての収入を、所得した利益とみなす。
コスト・必要経費とは何を指すかについて、知的財産裁判所におけるこの1年間の判決を見てみると、多くは会計学上の直接的なコストを指しており、間接的なコストが含まれていない。間接的なコストとは、侵害者が侵害行為を行ったか否かを問わず、支出しなければならなかったコストを言い、もちろん控除することはできない。したがって侵害者がコストと必要経費を証明することができる場合において、専利権者は侵害者が侵害行為により得た利益で計算した損害賠償額を請求することができる。即ち会計学上の「総収入」に基づく損害賠償であり、間接的なコストを控除したものや納税後の「純利益」又は「税引後利益」に基づくものではない。この計算による損害賠償額は、他の計算方式による賠償額よりも高額になることが多く、専利権者がよく採用している。
しかし、2013年1月1日に改正・施行された専利法では、後段(コストを挙証できないときは、全ての収入を利益とする旨)が削除されている。侵害者の製品全ての収益を権利者へ渡すのは、得られる賠償額が明らかに多すぎるきらいがあるというのがその理由で、後段が削除されて、損害賠償の請求時には、実際の各案の状況に応じて計算されることになった。
この新規定により、実務上では次のような場合に出会う。
1.改正前に発生していた侵害行為に対する損害賠償の計算は、旧法に基づく。よって、上述の「総収入」により計算することになる。知的財産裁判所の見解が変わらなければ、しばらくの間は引き続き適用されることになる。
2.法改正後に発生した侵害行為について、改正法の規定を知的財産裁判所がどのような解釈をして適用してくるかは、当面観察していくことになる。裁判所の見解がまだ明らかにならない前は、合理的な権利金により賠償額を計算する専利権者が増えるものと思われる。
尚、立法院(日本における国会に相当)は、2013年5月31日に専利法の改正を可決し、以前に削除されていた、故意による侵害に対し懲罰的な3倍の賠償金を支払うことを命ずる規定が復活することになった。この改正条文は公布日から施行される。
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