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職務発明の認定基準

 専利法第7条の規定により、従業者が職務上行った発明の特許を受ける権利及び特許権は、原則上使用者のものとなっている。どのようなものを職務上の発明と呼ぶかについて、同条では、従業者が雇用関係にある勤務中に行った発明としか規定していない。

 職務発明であるか否かを争点とするある訴訟で、知的財産裁判所の第一審は係争特許について職務発明であると認定した。その理由として、以下が挙げられている。
(1)係争特許の出願時に、従業者は使用者の企業の社員であった。
(2)係争特許の内容が使用者の企業の業務範囲内に含まれる。
(3)係争特許の出願費用を使用者が支払っている。

 しかし、この案件が上訴された後、知的財産裁判所の第二審は原判決を取り消し、職務上の発明でないと認定した。係争特許が職務発明でないとする認定に変えた理由は、主に次の通りである。
(1)従業者が代理人に委託して特許を出願したのは、従業者が就職してからわずか33日後であり、期間が短すぎ、使用者は従業者が就職してから出願するまでにその使用者が提供した資源・環境で係争特許が研究開発された証拠を提出することができなかった。
(2)双方がやり取りした電子メールには、使用者が職務上の発明の為に係争特許の出願費用を支払ったわけではないことが記されていた。
(3)係争特許が雇用の上に成り立つものであったことを示す契約等がなかった。また、通常の給与の他に、発明の対価となるものを使用者が支払ったという事実も無かった。

 知的財産裁判所の第二審は明らかに従業者に対して有利な認定をしている。注目すべきなのは、第二審の判決で為された下記の論述が、知的財産裁判所で“重要な裁判の要旨”として取り上げられ、そのウェブサイト上で公告されたことである。

 「この為、いわゆる職務上完成した発明とは、従事している業務と関連が無ければならない。つまり、従業者と使用者間に契約が結ばれ、使用者の商品開発や生産研究開発等の関連業務に従事、参与し、又はそのような業務を実行しており、従業者が使用者の設備・費用・資源・環境等を使用して完成された発明・考案・創作であって、使用者が支払った給与及びその施設の利用、又は団体の協力と対価の関係にあらねばならない。よって、専利法では、従業者の職務上の発明・考案・創作について、その専利を受ける権利及び専利権は使用者にあると規定している。その立法の意義は、使用者と従業者間の権利義務関係の平衡を保つことにあり、重点としては従業者が研究開発した発明が、使用者が提供した資源・環境を利用したものであるかどうかで、実際の職務とは関係が無く、ひいてはその契約上で約定した業務内容とも関係が無く、実際に会社が参与した業務及び研究開発した発明が、使用者が提供した資源・環境を利用したものであるか否かを判断基準とすべきである。しかも、当事者が自己に有利な主張をしたとき、その事実について立証責任を負うことは、民事訴訟法第277条の前段に明文化されている。もし、立証責任を負うべきものが、先に自ら主張した事実が真実であることを立証できない場合において、相手側がその抗弁事実をたとえ立証できなかったり、挙げた証拠に瑕疵があったといえども、裁判所は立証責任を負うものに有利な認定をすることができない。」

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