台湾著作権法第10条の規定により、著作者は、著作物を完成させた後に、登記、申請、発行、又は著作権の標示をしなくても、自動的に著作権を享有できることになっている。この為、著作者が作品上にその氏名や連絡先を明記していなければ、該著作物を利用したい人が実施許諾をする著作権者を見つけられず、該著作物を利用することができない。
この問題を解決し、すべての利用者がこのような著作権者不明の「孤児著作物」を利用できるルートを確保するため、台湾経済部知的財産局は2014年4月3日公布の著作権法改正草案に、第81条「著作権者不明時の強制許諾」の規定を追加した。
該条文ではまず、公開発表されている著作物について、著作権者不明又はその所在不明により、利用者が相当の努力を払ったものの実施権許諾を受けることができないとき、著作権主務官庁に強制許諾の許可を申請し、該著作物を利用することができる、と明文規定している。
また、「使用報酬」に関し、孤児著作物は著作権者が不明であることから、利用者が著作権主務官庁に強制許諾を申請するとき、使用報酬について権利者と話し合うことができない。この為、該条文では、著作権主務官庁が使用報酬を定めることを明文化し、著作権主務官庁が使用報酬を定めて使用許諾を許可するとき、利用者が定められた額の使用報酬を供託すれば、許可された範囲内で該著作物を利用することができると規定している。
この他、孤児著作物利用の時効性や、著作権主務官庁における審査効率促進も考慮され、該条文では著作権主務官庁が使用許諾をする前に、著作権主務官庁が定めた額の補償金を利用者が使用報酬の担保として供託することで、先に該著作物を利用することができると規定している。そして、その後利用者が著作権主務官庁から使用許諾を受けるとき、定められた使用報酬額が供託済みの補償金を超えていなければ、改めて使用報酬を納付する必要が無く、不足していれば追納することになる。しかし、利用者が著作権主務官庁から使用許諾を受けることができなかった場合、該著作物の利用を停止し、利用済みの期間の使用報酬について、著作権主務官庁が定めた後に供託しなければならない。
以上が台湾著作権法改正草案における権利者不明著作物の強制許諾に関する規定である。この改正案が順調に立法化されれば、台湾の孤児著作物の流通利用促進につながるだろう。
-----------------------------------------------------------------------
本ウェブサイトのご利用に当たって、各コンテンツは具体的事項に対する法的アドバイスの提供を目的としたものではありませんことをご了承下さい。