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退職者の競合企業への転職に対する仮処分申立て

 退職した社員が、元の雇用者と結んだ競業避止義務契約に違反して、元の雇用者の競合企業に転職する際、雇用者はその影響の程度により、退職者への損害賠償請求の他、裁判所に差止命令(injunction)や仮差止命令(preliminary injunction)を請求して、元社員が競合企業で働けないようにさせたり、元社員が知る営業秘密や知的財産が競合相手に漏えいしないようにしたりすることができる。

 2015年に、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd)が、その前研究開発部部長の梁孟松氏がサムスン社へ就職することを阻止することに成功し、それは最高裁判所で確定されている。

  2016年3月に、最高裁判所は、また新たな1件の競業避止に関する決定をした。しかし、その状況は、やや異なるものであった。この件の退職者は、「営業秘密と競合禁止の誓約書」にサインをしており、秘密保持義務を負うほか、退職日から3年以内に競合企業に就職しないことに同意していた。該元社員が2015年に離職した後すぐに前雇用者の中国の競合企業に就職したため、前雇用者は裁判所に仮処分を申立てた。第一審及び第二審で、裁判所は前雇用者に有利な決定を下した。その主な理由は、元社員は確かに以前の協議に違反しており、前雇用者の総売上高のうち、その相手と競合する車用カーテン商品が占める割合は96.56%に達し、もしその分野の技術が競合相手に伝わったら、確かに前雇用者の営業・運営に甚大な影響を及ぼし、重大な損害を受ける可能性があるというものであった。

  しかし、最高裁判所に抗告されたとき、最高裁判所は前雇用者に有利な決定を破棄し、原審に差し戻した。その主な理由は、原審は前雇用者が重大な損害を受ける可能性があることのみ論述し、前雇用者が該処分により得た利益や、仮処分が認められなかった場合に受ける損害と、元社員が処分により受ける不利益や損害と比較せずに、仮の地位を定める必要があると判断したのは速すぎるきらいがあるというものであった。

  本件は、このような仮処分申立てを行う場合、申立人が双方の利益と損失を比較し、より客観的且つ十分な参考データを提出し、仮処分の申立てが抗告手続きで肯定されるようにすべきであることを示唆している。

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